こんばんは、ドクトルです。
このブログでは、皆様に役立つ歯科の知識をお伝えしています。
要点はマーカーで引いておりますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。
本日のテーマは「腰椎圧迫骨折」について、訪問歯科医師の私が思うことを綴っていきます。
この腰椎圧迫骨折、最近私が診ている患者さんで、これでの入院が本当に多いんですよ。
入院先から戻ってきたものの、人によっては認知症が進行してまった方、激痩せして帰って来られる方、寝たきりになってしまう方などなど、高齢ということもあるのでしょうが、衰退してしまう方が多いように思えます。
職業柄こういった場面をよく目にしますので、入院したと聞いた時は、「どうか無事に戻ってきてくれ」といつも願うわけであります。
そんな今日、タレントの松本伊代さんが、「オオカミ少年」収録中に「腰椎圧迫骨折」を起こし、入院されたとのことで大きくニュースに取り上げられていました。
松本伊代さんと言えば、約5年ほど前、早見優さんとともに、京都市内のJR山陰本線の線路内に無断で立ち入り、鉄道営業法違反容疑で書類送検されたり等で世間を騒がせた方です。
当時世間からは「松本伊代さんってADHD、発達障害なのでは?」と批判されていましたが、天然キャラ故の軽はずみな行動だったと思います。
今回は腰椎骨折ということで、再び世間を賑わせています。
前置きはこれぐらいにさせていただきまして、本題に移ります。
先ず「腰椎圧迫骨折」の病態について簡単に調べてみました。
腰椎圧迫骨折について
腰椎圧迫骨折とは、上の画像のように、外力が加わることにより、腰椎を構成する椎体が圧迫され潰れてしまう状態を言います。
見るからに痛々しい。
腰椎圧迫骨折の症状
腰椎圧迫骨折の症状については以下の通りです。
- 強い腰の痛み
- 下肢の痛みや痺れ
- 寝返りが打てない
- 身長が縮む
腰椎圧迫骨折の原因
続いて、腰椎圧迫骨折の原因について。
- 強い外力
- 骨粗鬆症
特に「骨粗鬆症」というのは、女性に多く、閉経後のホルモンバランスの影響も大きいとされてます。こちらのサイト(「骨粗鬆症の原因について」)によれば、どうやら50歳前後がボーダーらしいです。
腰椎圧迫骨折の治療法
続いて治療法についてですが、以下の2点とされます。
- コルセットにて固定
- 手術
これと併せて、鎮痛剤服薬、抗炎症剤の投与、骨粗鬆症の予防などを行います。
R5.2.21追記:松本伊代さんの近況について〜寝たきり?歩行困難?無事に歩けているのか?
近況について追記しておきます。
R5.2.20のyahooニュースによると、現在は杖を使いながら何とか歩行しているとのこと、そして復帰の目処はまだまだ未定だそうです。
関係者の証言によれば、松本伊代さんは元来身体を動かすことが好きな方らしく、復帰に向けてリハビリも順調にこなしているそうです。
また、実しやかに流れていた引退説についてもきっぱり否定。松本伊代さんご本人も「早く歌いたい」と周囲に漏らすほど、意欲は満ち溢れているそう。
とりあえず寝たきりの状態は回避出来たようで、良かったです。
ソースはこちら→「松本伊代の現状について」
松本伊代さんの「腰椎圧迫骨折」〜個人的に思う懸念点について
さて、ここからは腰椎圧迫骨折について、私訪問歯科医の立場から個人的に感じる懸念点、3点について綴っていきます。
懸念点①:筋力低下
まず1点目は「筋力低下」について。
このテーマについては、過去記事でも取り上げました。
ベッドで過ごす時間が長いほど、全身の筋力低下、ADL(日常生活能力動作)の低下、嚥下機能(飲み込み)の低下など、全身の衰えに拍車をかけてしまうということが、既にエビデンスとして示されています。
故に、無理のない範囲で適度に離床を促すことも大事。
従って入院先についても、理学療法士などリハビリの専門職がきちんと介入されている病院が理想だと考えます。
病院ガチャと言ったら大変失礼ですが、何もしない病院って本当に何もしないので。
まあ松本伊代さんであれば、その心配は不要かもしれませんが(汗)
懸念点②:精神面
これについては、完全な私の肌感でありますが、腰椎圧迫骨折を始め、骨折・転倒など、歩行が困難になった方は「自信を無くす」ことが多いように感じます。
要は、「昔みたく、もう歩けないのか….」と精神的に落ち込んでしまうんですね。
加えて歩くと痛みを伴うので、歩くこと自体がトラウマになる方もいらっしゃいました。
なので、精神面でのケアも十分過ぎるぐらい行うべきだと考えます。
第8波の真っ只中のコロナ禍、まだまだ面会禁止の病院も多く、孤独な時間を長く過ごさなければならない体制なので、なお心配ですね。
懸念点③:歯科治療の介入に一部制限がかかる
そして、最後3点目は「歯科治療の介入に一部制限がかかる」ということです。
これはどういう事かと言いますと、骨粗鬆症の治療薬の一部を服用されている方は、顎骨壊死のリスクが跳ね上がるので抜歯が難しいケースがある、ということです。中でも注射製剤を打たれている方は、相当リスキーです。
ちなみに注意すべき薬剤名は以下の通りです。
- アレンドロン酸
- デノスマブ(プラリア)
- ランマーク
- テリボン
などなど。
詳細については、こちらの過去記事にて記述していますので、宜しければご参照くださいませ。
まとめ〜腰に労いを
では、まとめです。
今回の事件は命に別状も無く、良かったのですが、「骨折・転倒」は、「認知症」、「脳血管障害」に次いで介護が必要となった要因ベスト3に挙げられています。(詳細は「国民生活基礎調査の概況:介護の状況」をご参照ください)
いつまでも若くいたいですが、残念ながら身体はそうはいきません。
実際私も32になりましたが、20代の頃ほど無理が利かなくなりました。身体が硬いです。
しかも職業柄、結構無理な診療姿勢を取らざる得ないので、腰もいつかやるでしょう。
ついつい疎かになりがちですが、「日頃から腰を労ろう」と松本伊代さんの件を見て改めて感じました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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