
こんばんは、ドクトルです。
このブログでは、皆様に役立つであろう歯科の知識を、論文紹介を交えてお伝えしています。
要点はマーカーで引いておりますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。最悪吹き出し部分を読むだけでも大丈夫です。
注:今回は論文紹介ではありません
本日はいつもの論文紹介でなく、訪問歯科に関わる一般的なお話をさせていただければと思います。
テーマは「この薬を服用されている高齢者は抜歯注意〜3選」です。
さて抜歯注意のお薬については数多ありますが、私が訪問診療を通じて遭遇してきたお薬3種類をご紹介します。
訪問診療にて、身内の方の抜歯の依頼をご検討されている方々につきましては、是非本日の記事をご覧いただければ幸いです。
それでは、ご紹介していきます。
①血液の流れをよくするお薬

まず一つ目は血液の流れをよくするお薬です。これはよく耳にされるのではないでしょうか。
主として脳梗塞、心筋梗塞などの既往がある方が服用されていることが多いです。
メジャーどころはバイアスピリン®︎錠、プラビックス®︎錠、ワーファリン®︎錠、プラザキサ®︎錠、エリキュース®︎錠などです。
こういったお薬を服用されている方々は、抜歯の際に止血困難の恐れがあるため慎重に対応する必要があります。
ちなみに肌感ではありますが、ワーファリン®︎錠、エリキュース®︎錠を服用されている方々は出血が多いイメージです。また、注射をされた際に、頻繁に内出血を起こされている方も要注意です。
抜歯をする際は、かかりつけ医とご相談した上で行います。休薬指示もあれば、無い時もあり、対応は先生によりまちまちです。ただ現在の主流としては、休薬はしないことがセオリーになりつつあります。休薬をすることで梗塞のリスクが上がるからです。
②骨粗鬆症のお薬

続きまして二つ目は骨粗鬆症のお薬です。
整形外科にかかっている方であれば、これもよく耳にするのではないでしょうか。
この中でもBP(ビスホスホネート系)製剤を服用されている方は慎重に対応しなければなりません。
代表名は、ボナロン®︎錠、アレンドロン®︎錠など。
こういった骨を頑丈にするお薬を服用されていると、抜歯をした際に顎骨壊死のリスクがあるので注意が必要です。その中でもとりわけ、点滴静注にて投与されている方はさらにリスクが跳ね上がります。
ちなみに顎骨壊死とは下図のように、口腔内に骨が露出した状態を指します(閲覧注意)⏬

こうなってしまうと、本当に大変なことになるので、抜歯が必要になる場合は十分にかかりつけ医とご相談した上で行います。あと、先ほど言いましたが、点滴投与の方はリスクが激高なので、最悪抜歯できないこともあります。
③がんの骨転移抑制のお薬

そして最後三つ目は、がんの骨転移抑制のお薬です。
代表名は、ランマーク(デノスマブ製剤)です。
これも前述した、骨粗鬆症のお薬と同じく抜歯の際に顎骨壊死のリスクが高い薬剤です。

癌の骨転移を防ぐお薬を投与したいのですが、
先立って歯の治療を終わらせていただければ助かります。
と、某大学病院の先生から依頼がありまして抜歯を行ったことはありました。
ちなみにガイドラインにもありますが、歯科治療は投与の2週間前に終わらせておくことが望ましいとされています。
このお薬に関しては、かかりつけ医の方から十分なご説明があると思います。
まとめ
というわけで、本日は抜歯時に注意されたい、服用中のお薬3選についてお伝えしました。
一般的にはですが、上述したお薬の服用の有無に関わらず、抜歯の前にはかかりつけ医の先生と文書を交わして、抜歯の可否等お問い合わせは必ずします。
高齢者を相手にする以上、やはり予測不能な事態も十分に有り得ます。十分過ぎるぐらいに予防線を貼っておくことに越したことは無いです。
今日の知識が、皆様の頭の片隅にでも残っていただければ幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。





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