こんばんは、ドクトルです。
このブログでは皆様に役立つであろう歯科の知識を、論文紹介を交えてお伝えしています。
要点はマーカーで引いておりますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。
さて本日のテーマは「洗口液の殺菌効果」についてです。
今回ご紹介する論文はこちらです。
「高齢者における洗口剤顔相の口腔内細菌への効果ー被災した高齢者に対する保健指導への活用を目指して」増田 葉月、合場 千佳子、市川 順子
はじめに
まず本題に入る前に、設定背景についてご説明しておきます。
もしもライフラインが途絶えたら・・・・
今回の論文は、ライフラインが途絶えた被災下で、十分なブラッシングが行えない状況を想定し、洗口剤による含嗽前後の口腔内細菌数の変化を調査しました。
要は「うがい薬」だけでの殺菌効果を調査しました。
被災下では、高齢者の誤嚥性肺炎が増大する
前田らの阪神淡路大震災におけるアンケート調査によれば、高齢者の場合、避難生活が長引くと、体力低下も重なり、多くが肺炎に罹患したことが分かっています。
そしてその肺炎の大部分が「誤嚥性肺炎」ということも分かりました。
こういった災害時を想定した、口腔清掃不良状態に対し、洗口剤のみでの効果を発表した論文は無かったので、本論文でそのエビデンスについて明らかにしました。
それでは本題に入りましょう。
①研究対象者
今回の研究対象者は、含嗽が可能である70~80代の高齢者15名です。
属性は以下の通りです。
- 男女比:男性3名、女性12名
- 平均年齢:79歳
- 調査日数:3日間
②調査方法
続きまして調査方法です。
薬効成分配合2種類(洗口剤A:リステリンと洗口剤B:GUM)と未配合(洗口剤C:モンダミン)の比較
使用材料につきましては、以下の通りです。
- 使用した洗口剤:薬効成分配合のリステリントータルケアゼロ®︎ノンアルコールタイプ(以下、洗口剤A)、サンスターガム・デンタルリンス®︎ノンアルコールタイプ(以下、洗口剤B)、薬効成分未配合のモンダミンドライケア®︎(以下、洗口剤C)
- 検体:舌の前2/3にある舌苔
含嗽後の比較
洗口剤3種類について、含嗽してもらい、その後の細菌数を比較しました。
詳細は以下の通りです。
- 食後口腔清掃はせずに、食後2〜3時間後に洗口液10ml、30秒にて含嗽を行なってもらう。
- 含嗽前後の細菌数を比較
③結果
それでは結果です。
「薬効成分配合の洗口剤A、Bは含嗽により細菌数が減少した。片や、薬効成分未配合の洗口剤Cはほとんど変化がなかった。」
以下その変化を図示します。
洗口剤C(モンダミン)では、ほとんど細菌数の変化が見られませんでした。
まとめ
ではまとめです。
「殺菌効果が望めるのは、薬効成分が入っている洗口剤」
なお洗口剤A(リステリン)、B(GUM)については以下のように考察されていました。
先行研究での調査では、「洗口剤A」による抗菌効果は洗口10秒後及び30秒後で100%、「洗口剤B」では、洗口10秒後で95%、30秒後で100%の抗菌効果であった
「高齢者における洗口剤含嗽の口腔内細菌への効果ー被災した高齢者に対する保健指導への活用を目指してー」より一部改変
またリステリンの殺菌効果につきましては、こちらの過去記事でも紹介しておりますので、宜しければ併せてご覧ください。
既にある通り、リステリンの殺菌力についてはエビデンスが確立されています。
歯科医師の私としてもオススメしている商品です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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