ドクトル
こんばんは、ドクトルです。
本日も論文紹介を通じて、皆様の役に立つであろう知識をお伝えしていきます。
今回のテーマは「舌圧」です。
過去にも何度か記事にしたことがありますが、舌圧とは一言で言えば、「食べ物を喉に送り込むための舌の力」です。
つまり舌圧は、食事の際に非常に重要な役割を担う要素と言えます。
舌圧が低下すると普通食の摂取が困難になる為、栄養状態にも直結してきます。
舌圧に関する関連記事はこちらをご参照ください⏬⏬
ドクトル
このブログを読んで分かること ⏩飴を舐める訓練と併せて他の口腔リハを行えば、舌の筋トレとしては有効
それでは本題に入りましょう。
①本症例について
この論文で紹介されている症例は以下の通りです。
- 73歳男性
- 既往歴:2007年に脳梗塞を発症し、後遺症で右麻痺、言語障害、脳血管性認知症あり。
- 不穏、暴言、暴力、危険行為など認知症特有のBPSDあり。
- その他基礎疾患:糖尿病、高血圧、高脂血症
- 2012年7月より「食べ物が飲み込みにくい」との訴えがあり診療の運びになった。
- 主食→牛乳に浸したパン 副食→有形おかず
- 口腔内と喉に多量に食べ物が残る
ドクトル
今回の論文で紹介されている症例の方は
脳梗塞の後遺症で認知症があり、加えて摂食嚥下障害を呈している状態です。
②訓練内容
訓練内容は以下の通りです。
- 頸部可動域訓練(上下左右に首回し)
- 舌運動(舌を前に出す、左右に動かす)
- 舌抵抗訓練(舌圧子で負荷をかけ、それを押し返す)
- 構音訓練(ぱ、た、かの発音をそれぞれ10回ずつ)
- 舐摂機能訓練(15分間飴を舐め続けてもらい、飴の減少量を見る)
これらの内容を6ヶ月間週3回歯科医師が実施したとのこと。
注)訓練にて用いた飴はH+B棒付きキャンディ®︎で、糖尿病の方にも安全な低糖質のもの
※舌体操のイメージ⏬
③結果
結果については以下の通りです。
- 訓練開始3ヶ月後、VF検査(造影検査)にて調査したところ、口の中に残留する食物の量は著明に減少していた。
- 比例して舌圧も増加した。
- 口腔内細菌数も減少した。
- 飴の減少量も認めた=舌がよく動いていた
- 訓練開始2ヶ月後、体重は5kg増加した。
以下詳細の図も掲載しておきます。
※訓練途中で精神状態が悪化した為、リスペリドン(抗精神病薬)にてコントロールしたとのこと。また、舌圧が一時的に低下した要因としては、リスペリドンによる過鎮静によるものとのこと。
まとめ
では、まとめです。
ドクトル
飴舐め訓練は単独では不明だが、他の口腔機能訓練と併せて行えば舌圧向上には有効と言える。
また、この論文を読んで「ためしてガッテン」という番組で、飴を舐めると舌を動かすことで唾液の分泌を促進し、口を潤すことで口臭予防になる、という内容も思い出しました。(参照リンクはこちら)
こうしてみますと、飴一つ舐めるだけでも口腔機能的に有効である、ということは筋が通っていると言えそうです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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