こんばんは、ドクトルです。
このブログでは、皆様に役立つであろう歯科の知識を、論文紹介を交えてお伝えしています。
要点はマーカーで引いておりますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。最悪吹き出し部分を読むだけでも大丈夫です。
注)本日は論文紹介ではありません
本日のテーマは「訪問歯科診療の条件、料金、出来ること、非対象者」についてです。
過去記事でもいくつか挙げましたが、散乱してしまっているので、今回はこの記事を以って全てまとめてお伝えします。
つまりこの記事を読んでいただければ、概要は掴めますので、訪問歯科診療をご検討の方々は是非ご覧ください。
それでは4つの項目に分けて順にご説明していきます。
①訪問歯科診療の条件
まず、訪問歯科診療を受診するにあたっての前提条件が2つあります。
訪問歯科診療出来る範囲は半径16km以内であること
まず第一に、訪問出来る範囲が、病院から依頼主のお宅まで半径16km以内であること。
この距離範囲内であれば、山奥でも何処でも伺います🫡⏬
ちなみに、距離は最短直線での計算になります。
少しでも超えたらアウトになります。こればかりは決まりなのでどうしようもないです….
もし判断がつかないのであれば、事前に依頼先にお問合せすると良いでしょう。
歯科外来に行けない方でないと訪問歯科診療できない
そして第二に、歯科外来に行けない方でないと訪問診療できません。
これは当たり前のことなのですが、身体が不自由で通院が困難な方の為に、訪問歯科診療はあるわけです。
例えば
外来に通うのだるいから、訪問で診てくれませんか?
みたいなのはNGなので注意です。
以上2点が訪問歯科診療受診の大前提2点です。
もっと詳細を知りたい方はこちらの記事をご覧ください⏬
②訪問歯科診療にかかる料金
続きまして、訪問歯科診療にかかる料金についてのポイント3点をご説明します。
歯科医の往診料(基本料金)〜診る人数によって診療料金が異なる
一つ目のポイントは、「歯科医の往診料(基本料金)は診る人数によって診療料金が異なる」です。
以下のように保険点数が定められています。
- 1人→1100点
- 2~9人→361点
- 10人以上→185点
1点は10円として計算されます。
要は診る人数が少ないほど高くなるということです。
例えば居宅であれば、1人が対象になることが多いので1100点になります。
歯科衛生士の往診料(基本料金)〜診る人数によって診療料金が異なる
そして二つ目のポイントは、「歯科衛生士の往診料(基本料金)も診る人数によって異なる」です。
保険点数は以下の通りに規定されています。
- 1人→115点
- 2~9人→328点
- 10人以上→300点
まとめますと….
居宅→1215点/回
2~9人→689点/回
10人以上→485点/回
が訪問歯科診療の基本料金です。
これらの料金は医療保険で負担する分になります。
居宅訪問の場合は、1215点の基本料金に加えて介護保険の負担もかかる
そして最後の三つ目のポイントは「居宅往診の場合は、介護保険負担も加わる」です。
ややこしいことに、居宅往診の場合、上記の1215点の基本料金に加えて介護保険の負担も発生します。
名目は「居宅療養管理指導費」です。
料金の内訳は、歯科医師516円/月2回と歯科衛生士361円/月4回の分、合計2476円/月です。
∴ 居宅往診1ヶ月分の最低料金=1215×4+2476=7,336円/月
注)医療保険、介護保険負担割合1割で計算しています。
加えて、2~9人の施設往診の月の最低料金は689×4=2,756円/月、10人以上の施設往診の場合は1940円/月になります。
ここで注意していただきたいのは、これらはあくまで最低料金で、治療費等は別途負担になります。
詳細を知りたい方はこちらの記事をご参照ください⏬
あと、今年の10月から医療保険負担割合が2割負担になる方も一部いらっしゃるかと思います。
その場合の訪問診療料も計算していますので、こちらの記事も併せてご覧ください⏬
③訪問歯科診療で出来ること
続いて訪問歯科診療で出来ることについてですが、大きく分けて以下の4点が挙げられます。
口腔ケア
これは皆様もご存じの通り、第一に口腔ケアが挙げられます。
口腔ケアは、単なる歯磨きではなく、もはや治療の領域です。
誤嚥性肺炎との関連性、歯周病が引き起こす全身疾患のエビデンスについての論文紹介を、過去記事で挙げていますので、宜しければ「論文紹介」のカテゴリからご覧くださいませ。
歯科治療(保険診療のみ)
これもお分かりだとは思いますが、歯科治療ですね。ただし保険診療に限ります。
抜歯、入れ歯の修理、作製、虫歯治療、被せ物作製、などなど大方外来でする診療は可能です。
ちなみにレントゲン撮影もできます。
摂食・嚥下を診る
そして三つ目は、「摂食・嚥下を診る」です。
歯科医師の仕事は、もはや虫歯を治すことだけには留まりません。
「食べる、飲み込む」
この基本は、全てお口から始まることです。故に我々歯科医が関わらなければならない分野なのです。
診断の際には、問診、食事場面の観察、嚥下機能検査などを行います。
栄養指導
そして最後に「栄養指導」があります。
これは意外に思われるかもしれませんが、近年管理栄養士も訪問した際に、「栄養指導」という形で訪問診療において関われるようになりました。
全国的にもあまり認知されていないのではないでしょうか。
具体的には、低栄養状態に陥った患者さんに対し、いかに栄養量をカバーするか、ということについてアドバイスしていくスタイルです。その他には、食事の魅せ方、調理方法などもアドバイスしたりします。
詳細はこちらの記事に記載しているので、宜しければ併せてご覧ください⏬
④訪問歯科診療の非対象者
それでは最後に「訪問歯科診療の非対象者」についてです。
以下の2点に当てはまる方は訪問歯科診療は原則受診出来ません。
歯科外来に通院している方
まず1点目は歯科外来に通院している方です。
冒頭でも申し上げましたが、訪問歯科診療の対象者は「身体が不自由などやむを得ない事情で歯科外来に通院できない方」です。
つまり、逆を返せば歯科外来に通える方は、訪問診療出来ないということになります。
ここで注意していただきたいのは、足が悪くて付き添い付きで行っててもアウトです。
要は、足が悪かろうが、目が悪かろうが、付き添い無しで行けなかろうが、歯科外来に通院しているという事実自体がNGということです。
※医科の定期受診は除きます
歯科がある病院に入院中の方
そして2点目は、歯科がある病院に入院中の方です。
例えば、居宅で診てた方が、具合が悪くなり入院することになりました。
そこで、入院先に歯科が無い場合であれば継続して診療は出来ます。
しかし、入院先に歯科がある場合には、訪問は出来ないということです。
これも決まりなので、どうしようもないです。
以上2点が、訪問歯科診療を受診できない方達です。
詳細についてはこちらの過去記事にも記載していますので、宜しければ併せてご覧ください⏬
最後に
今回は、少々事務的な内容になりましたが、訪問歯科診療についての概ね全てをこの記事にまとめました。これから訪問歯科診療の受診をご検討されているご家族の方々に役立てれば幸いです。
長文になりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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