こんばんは、ドクトルです。
今回は口腔ケアについて、論文を交えながら話を進めていきます。
今回紹介する論文は「口腔ケアと誤嚥性肺炎予防 著者:米山 武義、鴨田 博司」です。
この論文は、一般公開されていますので関心がある方は是非ご覧ください。
この記事を読むと・・・・ ⏩なぜ口腔ケアが必要なのかを、論文を通して理解できる
本題に入る前に、まず誤嚥性肺炎について簡単にご説明します。
誤嚥性肺炎とは
誤嚥性肺炎・・・・口腔細菌を多く含んだ唾液を多量に誤嚥(誤って気管に入ること)することで発症する肺炎
これを踏まえて、本題に入っていきましょう。
①口腔ケアの意義
口腔ケアは、口腔の健康を支えるケアであると同時に、心身の健康と密接に関係しているということである。つまり、口腔ケアは生きるという人間の本質的活動を支える重要なケアである。
口腔ケアと誤嚥性肺炎予防 著者:米山 武義 鴨田 博司より引用
お口を綺麗にするだけでなく、全身の健康にも繋がるということを言ってます。
②研究対象者を口腔ケアグループと普通の歯磨きグループに分けて調査
この論文では、口腔ケアグループと普通の歯磨きグループの二つに分けて、のどに付着している細菌数にどういう変化をもたらすかを調査しています。
- 口腔ケアグループ→歯科衛生士が歯間ブラシで清掃、歯石取り、機械的清掃を徹底的に行った
- 普通の歯磨きグループ→本人任せのやり方
要は、前者がプロによる清掃、後者が一般人による清掃ということですね。
結果⏩ 口腔ケアグループの方が細菌数が大幅に減った。
③全国11ヶ所の特養で2年間、肺炎発症率について追跡調査
さらに調査範囲を拡大します。
対象者は全国11カ所の特養366名。内、184名が口腔ケア群、182名が普通の歯磨き群で2年間にわたり、誤嚥性肺炎の発症率を調査したとのことです。
- 口腔ケア群⏩職員さんの毎食後の歯磨き、ポピドンヨードでの咳嗽+週1回の訪問歯科でのケア
- 普通の歯磨き群⏩本人任せのやり方
研究に参加した入所者について⏩平均年齢82歳 歯がある人、全く無い人が混在 男女比は不明
結果⏩ 発熱発生率、誤嚥性肺炎の発症率ともに口腔ケア群が有意に少なかった。一方、歯がある人と無い人では差は認められなかった。
発熱発生率は口腔ケア群が15%、普通の歯磨き群が29%
肺炎発症率は口腔ケア群が11%、普通の歯磨き群が19%という結果でした。
まとめ〜論文を読んでみての感想
かなりかいつまんでの説明になってしまいましたが
要は、口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防に寄与するであろうということはご理解いただけたかと思います。
ただし、ここでの口腔ケアは専門職による専門的な口腔ケアであり、尚且つそのやり方を介護職員の方に伝えて、その上で2年間やった上での結果です。
つまり、プロの口腔ケアのやり方を、いかにして施設職員の方に落とし込めるかというのが重要であるとも読み取れます。
あと、もう一つ思う所が元々の発症率からどれぐらい減少したのかが、この論文では分からないということです。口腔ケアグループと、そうでないグループでの発症率の比較しかないので、何とも言えない所です。
まあ、いずれにせよ口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症率を抑える可能性が大きい、という意味では非常に重要な役割を担っているといえます。
※ちなみに肺炎発症率だけでなく、認知機能にも差が出たというデータもありました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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