こんばんは。ドクトルです。
訪問歯科をやっていますと口腔ケアを始め、一般的な歯科治療までの様々な依頼がありますが、本日はその中でも摂食・嚥下について記していこうと思います。
摂食・嚥下とは,食べ物をお口から食べて飲み込むまでの過程を指します。
実際の現場で確認するポイントは以下の3点です。優先順位が高いものから記述していきます。
①食べる時の姿勢
まず一つ目、姿勢です。
実は食べ物を飲み込むというのは、喉の機能だけで成立するものではありません。
喉だけと言う単純なものではなく、頭から足先までのほぼほぼ全身の筋肉と神経を使っています。食べ物の飲み込みって意外と複雑なイベントなんです。姿勢も重要な要素の一つになります。
例えば寝転んでテレビを見ながら水を飲んだり、食事するとむせて苦しい思いをした経験はないでしょうか?こういったことがあるように、姿勢が悪いとスムーズな食事は誰でも難しくなるものです。
ましてや高齢者の方は全身を支えるための筋肉が健常者よりもかなり弱体化している為、なおさら姿勢が悪くなってしまいます。
特に下のイメージ図のように真っ直ぐバランスが保てず、左右どちらかに大きく傾いてる光景はよく目の当たりにします。
なぜ第一優先に姿勢を確認しているのかと言いますと、全てのケースとは言わないまでも、ほぼほぼすぐ簡単に修正できるからです。例えば、傾いている身体の下にクッションを置いて真っ直ぐにするとか、枕を置いて首に角度をつけるとかなどなど、手軽な方法ですがこれだけでも状況は改善することが多いです。
ただし、先述しましたが全てのケースで上手くいくとは限りません。筋緊張がかなり強い方ですと、作業療法士様にマッサージをしてもらい指導を仰ぐ、など他職種の助けが必要になるケースもあります。
②機能面
二つ目は機能面です。
喉、口、舌など食事の大部分に関わる器官の働きを診ていきます。
まずは外から観察します。そして判断しづらい場合はVE(嚥下内視鏡検査)で精密検査を行うことがあります。
時には身体評価の他に、周囲の環境調整を指導することもあります。
これは重度認知症の方などに多いのですが、周りにいる人たち、はたまた模様がついている食器、テーブルクロスなどに気が散ってしまい食事が全く進まないという状況が頻繁にあります。
こういう方々に対しては環境を調整し、注意障害を取り除くことを優先します。
認知症の多くの方は身体的な問題はないが、そもそもの食べると言う行為自体ができないので結構難渋します。これについてはかなり複雑な要素が絡んでくるので、また別の記事でお伝えできればと思います。
③食形態
最後は食形態です。
これは患者様にあった形のお食事であるか、とろみの有無などについて確認します。
もちろん形態を下げることもあれば、逆に上げることもあります。
上げるのはまだしも逆に下げるというものに対しては、身内の方々はかなり難色を示されることが多いものです。なんせ形も食感もない、ドロドロの形状になるのですから、仰るのはごもっともだと思います。自分の両親が同じ状況になったら、と思うと抵抗ありますしね。
食形態の落とし所が本当に難しいのですが、自分にとっては一生の課題です。
一気に落とさずとも、一品だけレベルの高い食事を提供するとか、とろみは夕方の時間だけにするとか色々と工夫はしています。
まとめ
摂食・嚥下を診るにあたって以上の3点を重視して確認しています。
まだ他にも多くの要素を考えながら診ているのですが、ここでは書ききれないのでまたの機会に
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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