こんばんは、ドクトルです。
このブログでは、皆様に役に立つであろう歯科の知識を、論文紹介を通じてお伝えしています。
要点はマーカーで引いておりますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。最悪吹き出し部分を読むだけでも大丈夫です。
さて本日のテーマは「経管栄養チューブの細菌汚染」について論文紹介していきます。
はじめに〜経鼻チューブは苦痛
そもそも、経鼻チューブは、ずっと入れている持続的経鼻と、使用時のみ入れる間欠的経鼻の2種類があります。
しかし、いずれにせよ鼻にチューブなど、異物を入れるのは苦痛なものです。
例えば抗原検査とかで、鼻に綿棒入れられるの嫌じゃないですか?
経管栄養チューブの交換時期について
では皆様、経管栄養チューブの交換時期ってご存じですか?
目安としては、持続的経鼻であれば2週間に1回、間欠的経鼻であれば1週間に1回とされてます。
チューブを入れっ放しにするとこんなに汚染されます
私が往診している居宅の患者さんで、経鼻の方がいらっしゃるのですが、交換時期が何と1ヶ月に1回とのこと。
この時点で意味不明な状況なわけですが、交換したチューブを見せてもらうと大分悲惨な状況になっていました。
注意喚起の為の資料用として使用の許可を頂いてますので、以下掲載させていただきます。
(※閲覧注意 食事前の方は閲覧をお控えください)
1ヶ月でさえも、こういうふうに汚染された状況になってしまいます。
加えて、最悪だったのがチューブを交換していた訪問医師がかなりのヤブだったそうで、交換に10分もかかっていたそうです。
訪問医療を受けているご家族の方々へ、あまりにも下手くそだと思ったら、無理せず医者変えましょう。
さて話が横道に逸れましたが、早速本題に入りましょう。
①研究対象者
今回の研究対象者は、脳神経外科に長期入院中で、摂食嚥下障害を有し経鼻経管栄養中(以下、NG-tube)の患者5名です。
なお、この患者5名は週5日歯科衛生士により専門的口腔ケアが行なわれているとのことです。
②調査方法
まず予備調査について、以下3点。
- NG-tubeの交換日からの経過日数
- NG-tubeの汚染度
- NG-tubeに付着している細菌検査
続きまして本調査については以下の通りです。
- 旧NG-tube抜去後の舌苔および咽頭壁の培養検査
- NG-tube交換後、6時間後、3日後、7日後、14日後に付着している細菌を検査
③結果
まず予備調査の結果はこちら。
- 留置経過が長いほど、菌種、数ともに爆増。表面もカビていた。
- MRSA、緑膿菌などの耐性菌、カンジダ菌と種類は様々。
※耐性菌とは
抗生物質に耐性を持った細菌。普段の抗生剤が全く効かなくなり、かなり厄介な代物。
そして本調査の結果はこちら
- 交換してから6時間後の時点で多数の菌が付着していた
- 3日以降では、さらに多くの菌種が発見された
- 目立った菌は緑膿菌、腸内細菌
- 口腔ケアの協力度に関わらず、菌は増加傾向であった
まとめ
というわけでまとめです。
「経管栄養チューブを留置している時点で、既に細菌の温床。加えてチューブ上の細菌増加に対して、口腔ケアの効果は期待できないことが示唆される。」
この論文のデータによれば、極論毎日の交換が望ましいのでしょうが、介護負担費の増加、交換時の苦痛を毎日患者へ与えるという事態になるので、理想論を落とし込むのは現場では難しい。
やはり出来ることは、ガイドラインに沿った1~2週間の短期的な交換しかないのでしょう。
おまけ〜記事紹介
最後に、個人的にとても参考になった記事がありましたので、ご紹介させていただきます。
経管栄養では、「エンシュア・リキッド®︎」という栄養剤が多く使われる傾向にあります。
この「エンシュア・リキッド®︎」、何とアイスでも召し上がれる方法があるんです。
その内容についての記事を、今回はご紹介させていただきます⏬
ソースは「四姉妹と介護のブログ」より。
目から鱗とは正にこの事。是非一度ご覧ください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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