こんばんは、ドクトルです。
このブログでは皆様に役立つ歯科の知識、時事ネタなどお伝えしています。
今回は「カズレーザーと学ぶ。2時間SP」にて本日放送された、エクソソームについてご紹介していきます。
どうやら昨年も、同番組にて放送されたようで、大分反響があったみたいでして、今回はエクソソーム第2弾とのこと。
再生医療希望の光(?)エクソソーム
本題に入る前に、今回「エクソソーム」について解説してくださった、日比野佐和子先生について簡潔にご紹介しておきます。
今回の解説者:日比野佐和子先生について(年齢、経歴など)
年齢、経歴については以下の通りです。
- 年齢:52歳
- 経歴:大阪大学大学院医学系研究科卒業
- 専門分野:幹細胞治療、美容、アンチエイジング、一般内科・皮膚科と幅広い
- 勤務先:Y’sサイエンスクリニック 統括院長
ホームページを見る限り、審美系などを中心とした再生療法に特化しているクリニックのようです。
さて、前置きはこれぐらいにして本題に入りましょう。
エクソソームとは?
「エクソソーム」と一体何か?
一言で言うと「細胞間での情報伝達物質」です。
例えばガンであればガンのエクソソームが出る、怪我したら、怪我した細胞からエクソソームが出る、みたいに固有のものとされます。
近年、この「エクソソーム」があらゆる疾患を治すかもしれないと、再生療法の中でトレンドになっているそうです。
エクソソームの役割
では、エクソソームは一体どういった役割があるのでしょうか?
簡潔に要約すると、「細胞間の情報伝達と組織損傷の修復指示」とされます。
近年は、この役割を利用した様々な療法が行われているとのこと。
次の項目にてご紹介します。
血液検査で癌の早期発見が可能になる
このエクソソームを利用して、何と血液検査のみで癌の早期発見が可能になるとされてます。
どういうことかと言いますと、血液中に含まれる癌細胞から出されるエクソソームを検出することで、超早期に発見できるということ。
ちなみに現状、検出できる癌の数は13種類とのこと。
もっと検出感度が上がれば、従来のバリウム検査や、PET検査などが不要になると。そういう時代が来るのでしょうね。
MSC(間葉系幹細胞)療法にて組織を修復
そしてもう一つが、MSC(間葉系幹細胞)療法です。
MSCとは、ほぼ全ての体内の部位を修復・再生する能力を有する、非常にハイスペックな細胞です。身体の中では脂肪に多く含まれるとのこと。
実はこのMSCにもエクソソームがあり、所謂修復能力に長けたエクソソームを持っているとされます。この性質を利用した治療法がMSC療法と言われます。
詳細を説明しますと
- 脂肪からMSCを培養
- 点滴にて投与
- 患部から出されるエクソソーム(損傷エクソソーム)を検出
- MSCから修復のエクソソームを出し、患部に働く
- 組織治癒
MSC療法の症例実績について
続きまして、MSC療法の症例実績についてですが、本放送にて紹介されていたのは以下の疾患でした。
- 脳梗塞
- パーキンソン病
- ALS
- 心筋梗塞・動脈硬化
- AGA
- 脊髄損傷
- 腎臓病・肝臓病・糖尿病
- アトピー性皮膚炎
- 重度骨折
- アンチエイジング
上記のように、何症例か実績があるみたいですが、今のところ、脊髄損傷のみが保険適用とのこと。ただし『受傷後1ヶ月以内を目安に骨髄液採取が可能な患者に限る』という条件付き。
ちなみに、費用の方は保険の場合であっても150万〜200万はかかるそうです。まだまだ症例数が少ないということ、また世間に流通もしていないので致仕方ないところなのでしょうか。
その他で紹介されていたのは、脳梗塞の方が投与30分後膝が上がるようになった、下半身付随の方が全介助から一部介助にて立位が可能になった、などといった症例でした。
加えて最新の研究では、アルツハイマーに対しても効果があることが証明されました。海馬(記憶中枢)の新生ニューロンに働きかけ、再生を図るという仕組みです。
ソースはこちらから→2022年2月神戸医療産業都市推進機構 田口明彦博士
MSC療法の欠点
無論、良いことづくめとはいきません。欠点は以下が挙げられます。
- 加齢によりエクソソームの質が低下する
- 加齢によりMSCの数が低下する
- 他人から移植ができない
- 採取する際の身体的負担
- 自費で5〜30万かかる
- 慢性期には効かない
- がんを促進する恐れがある
以上のことを踏まえると、今のところは、高齢者、慢性期、そしてがん患者には向かない療法であると分かります。
エクソソームはデザイン出来る!?
何と驚くことに、このエクソソームは自在にデザインが可能とのことです。
要は、エクソソームに付加したい能力を人工的に付け加えることが可能ということです。
例えば、ガン予防であればガン抑制の能力を付与したエクソソーム。炎症を治したい時は、抗炎症作用のエクソソームなど、疾患に応じてエクソソームをデザイン出来ます。
こうしてデザインされたエクソソームを「デザイナーエクソソーム」と呼んでいます。
もはや何でもありですな。
最強MSC:その名も「ウォートンジェリーMSC」
今のとこと、再生医療の界隈で最強のMSCと言われているのが「ウォートンジェリーMSC」と言われる代物らしい。
このウォートンジェリーとは、ヘソの緒から取れるもので、この部位から取れるMSCは脂肪由来と比較すると、数千倍活性物質が多く、エクソソームも約200倍多いとされます。
若い組織ほど、質の良いMSCが採れるってことですね。
実際の症例では、全治3ヶ月の骨折が2週間で治ったという報告も上がっているようです。
感想:可能性には期待したい。今は応援するのみ。
では、私の個人的な感想を以て結びとさせていただきます。
医療革命の希望と言われるだけあって、さすが最先端技術。非常に画期的ではあると思います。
以前の回になりますが、老化細胞除去ワクチン療法など、知らないところで、本当に多種多様な治療法が確立されているんだなと感じます。
ただ、保険適応症例が脊髄損傷の1症例しかないこと、早期段階にしか効果がないこと、高齢者には不向き、などからエビデンスの不足と、適応症例が限定的であることが否めないと感じました。
加えて、MSC、エクソソームの名前を謳ったインチキ商売が増えるのではないかと危惧しています。特に美容系で。
話は逸れましたが、とりあえず今後も実績を増やして、さらなる発展に期待しております。今は応援することしか出来ないです。
もし参考になる論文を見つけたら、追記していきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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