こんにちは、ドクトルです。
このブログでは、皆様に役立つ歯科の知識や時事ネタなどご紹介しています。
要点はマーカーで引いておりますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。
さて、本日明朝にて。
日本大手製薬会社「エーザイ」とアメリカの製薬会社「バイオジェン」の共同開発された、アルツハイマー病の新薬について、アメリカにて迅速承認されたと一報が入りました。
その薬の名は「レカネマブ」
「レカネマブ」の最新情報
さて、本日はこちらの「レカネマブ」について、現段階で判明している情報について、簡潔にまとめてお伝えしていきます。
※ニュースが更新され次第、随時追記していきます。
レカネマブ最新情報①:錠剤でなく注射
実はこちらの薬剤、錠剤ではなく注射投与になります。
なので、風邪薬みたく手軽に摂取できるものではないということです。
少し不便ですね。
レカネマブ最新情報②:とりあえず承認されているのはアメリカのみ
こちらの「レカネマブ」の市場状況についてですが、現時点ではアメリカのみで「迅速承認」されている形とのこと。
※迅速承認とは
- 1992年に米国で作られた制度
- 少しでも薬の有効性を示す可能性があれば、医薬品として使うことを認める
- ただし承認後も、絶対的に効果があることをエビデンスで示すのが条件
- もし証明できなければ、使用は中止する
絶対効くかどうかは不明だが、とりあえず使ってみましょう、みたいな感じです。
エーザイは、約1800名を対象に、22年秋に実施した治験のデータを近日提出する予定とのこと。
レカネマブ最新情報③:日本ではいつ承認されるのか?
さて、アメリカでは迅速承認されましたが、我が国日本の予定はいかに?
一応年内3月までを目処としているとのこと。
加えて、日本のみならず欧州、中国でも使用を検討する運びに進んでいます。
レカネマブ最新情報④:治験データについて
治験データについては、エーザイの公式ホームページにて公表されていました。
せっかくなので中身を見ていきます。
※無料版は一部しか拝読できなかったので、内容が断片的になってしまっています。ご了承ください。
研究対象者
研究対象者の属性は以下の通りです。
- 50~90歳(男女比不明)の1795名
- 軽度認知症、早期アルツハイマーを有する
研究方法
続きまして、研究方法については以下の通りです。
- 期間は18ヶ月
- レカネマブ静注(898名)とプラセボ静注(897名)の2群を比較
- アミロイドβ減少率、有害事象について調査
※アミロイドβとは
アミロイドβは認知症の原因物質とされます。
脳に溜まるゴミみたいなものです。
結果
では結果です。
- アミロイドβ減少率→レカネマブの圧勝(698/898)
- 有害事象→脳浮腫12.6%
まとめると
- 認知症根治というよりも予防効果あり
- 早期患者が対象か
- 認知症原因物質アミロイドβに直接アプローチするという点で、既存の薬剤と異なる(※注)
- 脳浮腫、脳出血などの有害事象あり
(※注)→アルツハイマーになると、脳内の神経伝達物質が枯渇すると言われます。この神経伝達物質に対して働きかけるのが従来の抗認知症薬でした。代表例はアリセプト、ドネペジル、リバスチグミンなど。
より詳細をご覧になりたい方は、購読されるか、こちらの「アルツハイマー病 新薬レカネマブ 有効性や安全性は?臨床試験結果」のリンクをご参照ください。
参考までに、治験にて起きたその他の有害事象を以下列挙しておきます。(エーザイ株式会社 抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「レカネマブ」について より引用)
- 注入に伴う反応(26.4%)
- 脳出血(17.3%)
- 頭痛(11.1%)
- 転倒(10.4%)
なお、有害事象については、アメリカ側は「想定内」と判断しているとのこと。
まとめ
では、まとめです。
現時点での情報では….
- 飲み薬でなく注射にて投与
- アメリカのみでとりあえず承認されている
- 最終段階の治験データーを以て完全承認を目指しているところ
- 日本での使用は3月を目標
- 早期に投与し、早期に予防する薬
- 脳浮腫などの副作用がある
安全性が気になるところではありますが、今後の動向に期待しましょう。
ついでに、歯周病菌と認知症の関連性についても加えてお伝えしておきます。
普段のお口のケアも、認知症予防に繋がることが科学的に証明されています。
過去記事ですが、宜しければご参照くださいませ。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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