こんにちはドクトルです。
このブログでは、皆様に役立つ歯科の知識をお伝えしています。
要点はマーカで引いておりますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。
さて今回は「老老介護」について、訪問歯科医師の立場から掘り下げていきます。
つい先日このような悲しいニュースがありました。
まずは事件の概要から、簡潔に記していきます。
神奈川県大磯町にて起きた殺人事件について
11月2日夕方17時30分頃、神奈川県大磯町にて事件は起きました。
大磯港にて、「人が浮かんでいる」と通報があり発覚しました。
浮かんでいたのは、女性(79)。救急搬送も功を奏さず、残念ながらお亡くなりになりました。
主犯はご主人(81)
この事件の、主犯は女性(79)のご主人(81)。
事件後、ご主人の長男から「父が『母を海に突き落としたと言っている』」と通報があり逮捕に至ったとのことです。
動機は「介護疲れ」
本事件の動機は「介護に疲れたから」とのこと。
奥様は脳梗塞を患っており、下肢不自由のため車椅子生活をしていたそうです。
そんな奥様を、何と40年も寄り添い、ご主人が介護をしていたとのことです。
普段のお二人の様子
ニュースのインタビューからの情報ですが、ご主人は奥様の今後のことも考え、「月に1万五千円ずつ貯金していた」そうです。
こういった献身的な一面がある一方で、「朝方怒鳴り声が聞こえる日もあった。大変そうだなと思った。」というお声もありました。
なお、奥様については、近日中に高齢者施設入居の予定も組んでいたとのこと。7日に面会予定だった最中、この悲しい事件が起きてしまいました。
今回の「介護疲れ」による殺人事件に触れて思ったこと
この事件により、再び「老老介護」の問題が再燃しました。
この問題について、訪問歯科医師の立場から思ったところを記していきます。
①氷山の一角である
まず1点目は、この事件は「氷山の一角に過ぎない」ということです。
言い換えますと、いつ何時この類の事件が起きてもおかしくない、ということです。
私が訪問している居宅の患者さんでも、老老介護の現場は数えきれません。地域性で多少の差はあるでしょうが、超高齢社会の日本では珍しくない光景でしょう。
従って、今回の件に留まらず、今後も同様の事件が増大していく危険性を感じざるを得ません。
全員ではありませんが、実際介護をされている方々の多くは相当なストレスを感じています。
夜中起きるから寝れない
危なかっしくて目を離せない
本人が施設入居を拒否する
言ってることが分からない
言ったことを理解してくれない
言うことを聞かない・・・etc
訪問歯科医師という立場上、今回の事件がとても他人事と思えません。
②本当の思いは当事者にしか分からない
そして2点目は「本当の思いは当事者にしか分からない」ということです。
もし自分が、このご家族に訪問診療にてお伺いしてたと仮定すると
正直、このご家族に対しては、さほど深刻に受け止めなかったと思います。
「約40年にわたり介護をしている」
という事実のみで、「40年も寄り添ってきたのだから、心配しなくても大丈夫かな。特に何もなく大丈夫ですって言ってるし。」
というふうに軽く捉えていたと思います。人を殺すなんて1ミリ足りとも思わなかったでしょう。
本当は精神的に追い詰められているということも知らずに。
なので、今回の事件に触れて思うのは、老老介護をされている方については、悩みを言わず塞ぎ込むケースもあるということも念頭に置かなければならないと改めて感じましたし、反省しました。
せめてもの心の拠り所にしていただければ、と思いますが、距離感の塩梅がまた難しいんですよね。
近過ぎて厚かましいとも思われたくないですし。
まとめ〜ほんの少しの気づきでも他職種と共有する体制が必要か
以上、今回の「介護疲れ」により起きた神奈川県での殺人事件を見て思ったことを記しました。
解決策とか、無責任なことは言えませんが、我々訪問診療の立場から出来ることは
ほんのちょっとした変化、気づきでも、他職種、ケアマネと共有できる体制を作ることでしょうか。
余談ですが、当院では多職種連携と情報共有のツールとして「MCS(MedicalCareStation)」を用いています。
長くなりましたが、今回の事件は訪問診療に携わっている私にとって反省材料にもなりました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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