
こんばんは、ドクトルです。
このブログでは皆様の役に立ちそうな歯科の知識を、論文紹介を通じてお伝えしています。
要点はマーカーで引いてますので、マーカー部分をなぞるだけでも内容はご理解できるかと思います。
本日のテーマは「歯磨きの時間と効果の関連性(職種間での比較)〜介護施設での研究」です。

今回ご紹介する論文はこちら。
「要介護高齢者の口腔清掃にかける時間の分析と清掃効果ー高齢者介護施設職員と歯科衛生士ボランティアの比較」 横塚あゆ子、隅田好美、福島正義
本論文では歯科衛生士と介護職員が口腔ケアを行う時間と、口腔清掃効果の関連性を調査しています。
それでは本題に入りましょう。
①研究対象施設と対象者
今回の研究対象施設は、東京にある特養A。当施設では、介護職員及び看護師によって口腔ケアを毎日3回行われている。加えて週1回の訪問歯科診療がある。
職員に対して、口腔ケアの指導と助言。また年1回口腔機能向上体操も行っているとのこと。
※口腔機能向上体操のイメージ⏬


口腔ケアに対し、比較的意識が高い施設と言えます。
一方、研究対象者については以下の通りです。
- 要介護高齢者18名(男性2名、女性16名)
- 高齢者の平均年齢:89歳
- 要介護度4〜5
- 栄養摂取方法:経口摂取8名、胃ろう10名
これら対象者に対し、施設職員5名(介護職員4名、看護師1名)及び歯科衛生士6名にて口腔ケアを行ないました。
なお、口腔ケアの経験年数については介護職員が1〜5年、看護師が10年、歯科衛生士が4〜15年と、ほぼほぼベテランの方が揃いました。
②調査方法
調査方法については以下の通りです。
- 口腔ケアの様子をビデオで撮影し、スタートから終了までの時間を測定。
- 口腔清掃前後で、唾液を採取しアンモニア濃度を測定。その変化を見る。
※唾液採取については、口腔ケア後2時間後とのこと。なお、終わってからの2時間は一切の飲食を控えるよう指示した。
③結果
それでは結果です。
- 口腔ケアの時間:歯科衛生士(3分57秒〜15分52秒)>施設職員(1分33秒〜3分59秒)
- アンモニア濃度:職種によって差は無かった。(=効果は両職種同等)

歯科衛生士の方がケアの時間が長かったのに、口腔ケアの効果については職種間では差が無かったとの結果でした!
本論文では、この結果について以下のように考察しています。
- 口腔ケアの時間の差について→施設職員の意見としては、口腔ケアにかける時間は「5分」が一般的な意見であった。
- 口腔ケアの効果の有意差が無かったことについて→口腔ケアに対する意識が高い施設であった為
まとめ
最後に得られた知見を箇条書きにして、締めさせていただきます。
- きちんと口腔衛生指導にて教育されている施設は、口腔ケアの効果が良い方向に反映される。
- 施設職員は他の業務も抱えている為、我々ほど口腔ケアに時間はかけれない。そのため、この点も考慮しての口腔衛生指導を行う必要がある。また、時間がなくて出来ない部分を訪問歯科でカバーする姿勢が望ましいとも言える。
- 時間より質なのか?
今日の結果からも言えますが、
過去記事で再三再四、繰り返しお伝えしています
「口腔ケアの本質は介護者に対する教育である」ということは、やはり違いないと言えるでしょう。
こちらの関連記事も宜しければ併せてご覧ください⏬
また3番目の、時間より質なのか?ということについては母体が少数であるため、今回の論文のみでは言い切れないところです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。





コメント