
こんばんは、ドクトルです。
このブログでは、皆様の役に立つであろう歯科の知識を、論文紹介を交えてお伝えしています。
要点はマーカーで引いてますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。最悪、吹き出し部分を読むだけでも大丈夫です。
さて今回のテーマは「要介護のリスク要因について」です。

それでは本題に入りましょう。
①研究対象者
今回の研究対象者は、65歳以上の要介護認定を受けていない高齢者9,702名です。

かなりの大規模調査ですね。
②調査項目と方法
調査項目については以下の通りです。多数あるので、結果のみ知りたい方は飛ばしてください。
- 年齢
- 家族構成
- 所得
- 教育年数
- 治療中の疾病の有無
- 内服薬数
- 転倒の既往
- 咀嚼力
- BMI
- 聴力障害の有無
- 視力障害の有無
- 排泄障害の有無
- 活動能力
- うつの有無
- 主観的健康感
- 飲酒
- 喫煙
- 一日当たりの平均歩行時間
- 外出頻度
- 友人との交流
- 社会的サポート
- 会参加
- 就労
- 家事への従事
9,702名の研究対象者を2003年10月〜2006年10月の3年間追跡調査を行った。
そして、上記の調査項目のうち、どれが要介護因子と関連するかを分析した。
③結果
では、結果です。
まず、この3年間の追跡調査中に
520名が死亡、要介護認定が838人、重度要介護認定が380人になった。

3年間で約12.5%が要介護になりました。
そして、要介護のリスク因子として関連したのは….
- 年齢が高い
- 治療中の疾病あり
- 服薬数多い
- 転倒歴あり
- 咀嚼力低い
- 排泄障害あり
- 生活機能低い
- 主観的健康感が良くない
- うつ状態
- 歩行時間30分未満
- 外出しない
- 友人と会う頻度が月1回未満
- 自主的会参加なし
- 仕事していない
- 家事をしていない
簡潔に7点でまとめます
要介護リスクは….
- 高齢で持病があり、服薬も多く、不健康
- 転倒既往あり
- 噛めない食べ物がある
- 排泄障害がある
- ADL低い
- うつ
- ひきこもり
まとめ〜私の知見
私が訪問診療をしていて感じるのは、個人的な主観ですが
「転倒」がトリガーになっていることが多いように思います。
転倒→骨折→歩けない→筋力低下→活動量低下→ひきこもる→介護度が上がる
もしくは
転倒→歩けないことに自信を無くす→外出しなくなる→ひきこもる→介護度が上がる
または、上記の結果には反映されていませんでしたが「友人がいない」「趣味がない」という点も、私の患者さんで介護度が上がるリスクになっている印象です。
友人がいない、趣味がない→やることが無い→ひきこもる→介護度が上がる
要は、入り口がどうであれ、結局のところ「ひきこもり」に帰結することが多いというのが私の知見です。
従って、ひきこもりの状態を阻止することが重要になってくる訳ですが、現実そんな簡単な話ではないです。
全国的にもまだまだ把握されていない独居の高齢者、そしてコロナ禍における外出制限。
こういった問題がある以上、前には進まないのでは無いでしょうか。
なんだかんだ「健康が一番」といえば耳が痛い話ですよね。
高齢者のひきこもりについては過去記事でご紹介していますので、併せてご覧ください⏬
ここまで読んでいただきありがとうございました。





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