こんばんは、ドクトルです。
今日は誤嚥性肺炎に関するお話です。
誤嚥性肺炎に関しては過去記事に挙げたことがありますが(下記参照)
そもそも誤嚥性肺炎は、8~9割型唾液の誤嚥が原因であります。
理由は、唾液の中には口腔内細菌が含まれるからです。
健常者であれば、多少誤嚥したところで、咳をして吐き出せるので何も起こりません。しかし、寝たきりの高齢者などは、喉の感覚が低下し、誤嚥しても吐き出せない。故に結果として多量に誤嚥し肺炎を起こしてしまいます。
普通誤嚥した場合むせが生じますが、喉の感覚が著しく低下している場合、むせが消失して無くなっている、けども誤嚥しているという状態が生じます。これを不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)、いわゆるむせない誤嚥と呼びます。
まとめますと、誤嚥性肺炎は、多くが唾液の不顕性誤嚥によるものと言えます。
前置きが長くなりましたが、今回の内容は「唾液誤嚥は、姿勢で防止できる」という内容です。いつも通り論文紹介を交えながらお伝えしていきます。

今日の記事はこんな方にオススメ ⏩何回も誤嚥性肺炎を繰り返している人達を介護している方々
それでは本題に入りましょう。
①研究対象者
今回の研究対象者は脊髄小脳変性症(オリーブ橋小脳萎縮症)で重度嚥下障害をきたしている方です。
詳細は以下に示します。
- 64歳 男性
- 食事は全粥、ミキサー食と補助栄養
- 左下一側嚥下(左(正常に機能する方)を下にして、横になって食べている)
- 咳による喀出が出来ない
- 誤嚥性肺炎による入院を繰り返している
- 嚥下改善術を施行するも、唾液誤嚥を繰り返す
②調査方法
姿勢を仰臥位(仰向け)、左後傾(ガラガラうがいする時の頭)側臥位、左前傾側臥位の3パターンにて、唾液誤嚥の状態を内視鏡にて観察。

注)今回は左を下にした姿勢ですが、これは左側が麻痺側でないからです。
前傾側臥位のイメージ⏬⏬

後傾のイメージ⏬⏬


側臥位が横寝
前傾が、首がお臍を向く方向の位置
後傾が、首が天井を向く時の位置
というイメージで良いと思います。
③結果
Ans→左前傾側臥位が唯一、気管への侵入が全くなかった。即ち誤嚥が無かった。唾液も自然に排出できた。
まとめ
以下まとめです。
- 仰向け、後傾にすると唾液がダイレクトに気管に入りやすくなるので、避けた方が良い
- 前傾にすると、気管の入り口が狭くなるので、唾液が流れにくく誤嚥防止になる。

例えば、気道確保とか、ガラガラうがいする時って顎を上に挙げますよね?
仰向け、後傾って正にこれに近い状態です。
不顕性誤嚥ってのは本当に厄介です。喉の感覚を活性化するための薬を使うとか、地道におでこ体操など嚥下訓練でコントロールするのですが、なかなかすぐには効果が出ない、というのが私の肌感であります。そういった中でも、この姿勢調整であれば誰でもやり易く実用的であるので、結構多用しています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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