
こんばんは、ドクトルです。
このブログでは、皆様に役立つであろう歯科の知識を、論文紹介を交えてお伝えしています。
要点はマーカーで引いておりますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。最悪吹き出しの部分を読むだけでも大丈夫です。
さて本日は「要介護になりやすい高齢者のお口の関連因子」についての調査論文をご紹介していきます。

今回ご紹介する論文はこちらです。
「後期高齢者の口腔状態と要介護状態または死亡発生との関連性」
佐原久美子、福井 誠、坂本 治美、土井登紀子、吉岡 昌美、岡本 好史、松本 侯、松山 美和、河野 文昭、日野出大輔
それでは本題に入りましょう。
①研究対象者
今回の研究対象者は、徳島県在住の75歳の高齢者275名です。
ちなみにこの275名は、後期高齢者歯科健診を受診している方々です。
②調査方法
調査方法はアンケートにて行ないました。
これらのデータを基に、要介護になった者と、ならなかった者についての関連因子を2年間追跡調査しました。アンケート内容は以下図示します。


口腔内状況以外にも、疾患の有無、食事の食べにくさ、むせの有無なども調査しています。
③結果
それでは結果です。
要介護になった者で、特に多かった項目は….
- 固いものが食べにくくなった
- 中程度/多量のプラーク・食渣の沈着
- 現在歯数20歯未満
- 義歯を持っているが使っていない、もしくは持っていない
- CPI=2(深い歯周ポケット)
まとめ
では、まとめです。
要介護リスクが高い人は
「口腔内が不潔な方」
「歯が少なく入れ歯が無くて咬めない方、もしくは入れ歯が合っておらず咬めない方」

要は、歯周病に罹患している。さらに歯が無くなって咬めない方は要介護リスク大ということです。
歯周病ー認知症、全身疾患になりやすくなるー要介護
歯が無い、咬めないー栄養偏るー栄養不足ー要介護
歯が少ない人は、ビタミン摂取が不足になりがち、さらに咬む力も弱ければ栄養不足になりやすくなる上に、認知症、フレイル(身体機能低下)の傾向が強くなるということについては先行研究でも言われています。詳細は過去記事に挙げてますので、宜しければ併せてご覧ください⏬
というわけで、今回は「口腔内限定で見た時に、要介護になりやすいのはこんな人」でした。
ちなみに、要介護のリスク要因についても過去記事で挙げていますので、併せてご覧ください。この記事でも「噛めない食べ物がある」がリスク要因の一つとして挙げられていました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。






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