
こんばんは、ドクトルです。
このブログでは、皆様に役立つであろう歯科の知識を、論文紹介を交えてお伝えしています。
要点はマーカーで引いておりますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。最悪吹き出し部分を読むだけでも大丈夫です。
皆様お久しぶりです。4泊5日学会にて幕張メッセに行っておりました。
しばらく間が空いていしまいましたが、本日から再開したいと思います。
さて今回のテーマは「運動不足と認知症」について論文紹介を通じてお伝えしていきます。

はじめに
先ず始めに「ロコモティブシンドローム」と認知症の現状について、ご説明します。
ロコモティブシンドロームとは?

ロコモティブシンドロームとは以下のように定義されています。
ロコモティブシンドローム(以下ロコモと省略)は『筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、「立つ」、「歩く」といった機能が低下している状態』と定義される。
「地域高齢者におけるロコモティブシンドロームと認知機能低下の関連」より引用

要は、運動器の不具合で立位歩行しずらい状態を指します。
今回ご紹介する論文では、このロコモと認知機能低下における関連性の有無について調査しています。
あともう一つ、認知症の現状について軽く触れておきます。
認知症の現状について
皆様、現在日本国内で認知症罹患者ってどのくらいいるかご存知ですか?
2020年の65歳以上の高齢者の認知症割合は約6人に1人。数にして約602万人とされます。推計では正比例的に増加し、2025年で有病者数は約5人に1人、数にして約730万人になると言われています。(公益財団法人 生命保険文化センターより)
疾患に対しては、根本的な解決法は無く、薬で進行を遅らせることしかできないのが現状です。

かなり深刻な現状です。
前置きはこれぐらいにしまして、本題に入りましょう。
①研究対象者
先ず今回の研究対象者は、ロコモに関する質問票に回答した高齢者3751名です。詳細につきましては以下の通りです。
- 自立している
- 男性1914人 女性1837人
- 平均年齢:71.9±5.7歳 (65歳〜95歳)
②調査方法
調査方法については以下の通りです。
- ロコモ25にて、問診を行い進行度を調査
- 介護予防マニュアルの基本チェックリストの中にある、認知機能項目の該当数を調査
ロコモ25についての内容はこちらを参照されてください⏬

※ロコモ判定について
6点以下→ロコモ非該当
7~15点→ロコモ度1(移動機能低下が始まってる)
16点以上→ロコモ度2(移動機能低下が進行している)
※認知機能項目について
該当項目なし→低下なし
1項目該当→軽度
2項目以上該当→中程度低下
基本チェックリストについては以下掲載しておきます⏬

この両者の関係を、統計解析にてデータにしました。
③結果
では、結果です。
Ans→ロコモ度が高いほど認知機能低下の割合も増えた。
男女別に示した、認知機能軽度と重度のロコモ度の比較はこちら⏬
まずは認知機能軽度から

続きまして認知機能中程度はこちら


認知軽度を青字、中程度以上を赤字で示しました。
男性:ロコモ度1(1.63) (1.65) ロコモ度2(1.78) (2.99)
女性:ロコモ度1(1.65) (1.97) ロコモ度2(1.81) (2.43)
まとめ
では、まとめです。
結果から分かる通り、運動機能低下が認知症進行の要因になることが示唆されます。
入院が長引いたら、もしくは自宅にしばらく帰れなかったら、認知が進行するというのは、よく聞く話ですが、確かにこの論文の通り、身体を動かす機会がなくなると認知は進行しやすい傾向にある、というのは、現場に行って肌で感じることは多々あります。
また、完全に私の肌感ですが、訪問歯科医の立場から見て、認知進行が少ない方の特徴としては
- 趣味がある(麻雀、畑仕事など)
- 性格が明るい
- 会話好き
- 歩行器を使っても、自力で歩く
- 車椅子でも、自力で動かす
- 朧げながらも、トイレも自分で行く
など、比較的身体を動かされている方が多いように見受けられます。
運動が脳に及ぼす影響についての文献も、もう少し漁ってみますかね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。





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