こんばんは、ドクトルです。
本日のテーマは「胃ろう(以下PEG)」です。
PEGとは、お口からの栄養摂取が困難な方が対象で、胃から直接栄養を補給する方法です。
イメージはこういう感じです⏬⏬

特養、療養型施設などでは、よく見られる光景です。
ところでこのPEG、実際の予後はどれぐらいなのでしょうか?

ドクトル
この記事を読んで分かること ⏩胃ろうの生命予後を左右する関連因子
それでは本題に入りましょう。
①研究対象者
本論文の研究対象者は、2000年1月から2009年12月まで追跡した215例の入院患者です。
属性は以下に記載します。
- 男性101例 女性114例
- 平均年齢:78.8歳
- 80代が最多
- PEG原因既往については、脳血管障害が最多で、次いで誤嚥性肺炎、認知症、加齢、パーキンソン、筋ジストロフィー、癌であった。
②方法
調査方法は以下の通りです。
- 生存率を統計にて分析
- 死亡患者の死亡原因についても調査
- PNI(予後推定栄養指数)を算定し、生存率との関連性を調査

ドクトル
※用語説明
PNI→予後栄養指数とも言われる。
50~60で栄養障害あり、40以下で予後不良、35以下で60日以内で死亡すると言われている。
③結果
では結果です。
PEGの予後については….
- 生存は96例、死亡は119例
- 亡くなった場所は「病院」が最多であった。自宅に帰れた方は27例と、ほとんどいなかった。
- PEG後30日後の生存率は95%、1年生存率は64.4%、5年生存率は25.1%であった。
- 年齢別での生存率はあまり差はなかった。
- 死亡原因は誤嚥性肺炎を含む肺炎が42%を占めた。
- PEG施行前に誤嚥の既往がある者とない者で見ると、前者が圧倒的に生存率は低かった。1年以内の早期死亡が40.9%、2年生存率は13.4%であった。
- PEG施行前に低栄養だった方(Alb値3未満)は死亡率が高い傾向にあった。
- PEG施行前にPNI35未満であった方は死亡率が高い傾向にあった。
まとめ
最後にまとめです。

ドクトル
PEGをするにあたって予後を左右するものは
『誤嚥の既往があるかないか』が大きい。
また、死因は肺炎が多いことから、逆流を防止すべく姿勢の調整をするなり、口腔ケアで口腔内細菌を減らすことが大事である。
あと、一つ言いたいのですが
口から食べてないから歯磨きは必要ないでしょ、と思っているのであれば、その考えは今すぐ改めてください。
PEGの方の口腔ケアをしてて思うのは、お口の中が乾燥、もしくは粘性になっていることが本当に多いです。口から食べていないから歯は不潔にならない、というのは実は間違ってます。使わないからこそ不潔になっていきます。
加えて、死因の半分近くが肺炎を占めているという、この論文の研究結果からも、口腔ケアの必要性は十分にあるといえるのではないでしょうか。
ここまで読んでいただきありがとうございました。


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