こんばんは、ドクトルです。
早速ですが本日も論文紹介をしていきます。

今回ご紹介する論文はこちらです。
朝比奈滉直、小笠原 正 、秋 枝 俊 江、宮 原 康 太、松 村 康 平、荘 司 舞、島 田 茂 、島 田 裟 彩、柿 木 保 明
経管栄養、特に胃ろうの方は誤嚥性肺炎による発熱が多いと言われています。(関連記事は下から)
そこで、今日の記事では経管栄養患者(胃ろう)のお口の中と発熱との関連性を見ていきます。
この記事を読んで分かること ⏩発熱が多い、胃ろうの方のお口の中の特徴
それでは本題に入りましょう。
①研究対象者
今回の研究対象者は、要介護高齢者で経管栄養(胃ろう)をしている16名
詳細は以下の通りです。
- 山梨県内のA病院、沖縄県内のB病院、沖縄県内の特養C,Dに入所中の方々
- 口腔内乾燥が強い方々
- 一切経口摂取なし
②調査項目
調査項目は以下の通りです。
- 性別
- 年齢
- 寝たきり度
- 基礎疾患
- 口腔内状態(歯数、虫歯の数、剥離上皮膜)
- 意識レベル(JCS)
- 意思疎通の可否
これらの調査項目と、過去6ヶ月以内の発熱の有無の関連性を統計分析しました。

※剥離上皮膜とは
口の中が乾燥して、皮が剥がれてきたもの
下図の黒矢印で示したものです。

③結果
それでは結果です。
Ans→分析の結果、剥離上皮膜が有る方は発熱リスクがかなり高い傾向にあった。
まとめ
なお今回の研究で、剥離上皮膜が発熱リスクと関連したことについて本文ではこう述べています。
経管栄養者における発熱要因としての剥離上皮膜は、口腔乾燥と細菌叢が関与していると考えられる。〜(略)〜また経管栄養者の口腔内細菌叢は経口摂取者と異なり、さらに剥離上皮膜をもつ口腔内はGBSが特異的に多い。なかでもGBSによる感染症は高齢者に多く、寝たきり高齢者のGBS肺炎は菌血症や誤嚥によるものと報告されている。剥離上皮膜の存在する口腔内細菌叢が発熱に関連していると思われた。
「経管栄養の要介護高齢者の発熱と口腔内状態」より引用(一部改変)
∴ 胃ろうの方など、非経口摂取の方々はお口の中が乾燥しやすく、細菌の温床である剥離上皮膜が出来やすい。これを誤嚥することで発熱につながる。従って剥離上皮膜が出来ないように、口腔内の保湿を徹底しなければならない。

剥離上皮膜は胃ろうの方以外でも結構いらっしゃいます。
例えば、看取りの方、筋緊張が強く口が閉まらない方などです。
ちなみに、愛用している保湿剤はオーラルピースとリフレケアです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。





コメント