パーキンソン病と嚥下障害について

咳をしている女性 論文紹介
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こんばんは、ドクトルです。

いきなりですが、パーキンソン病って聞いたことありますか?

芸能人のみのもんたさん、ボクサーのモハメド・アリさんなどが罹っており、テレビでは耳にしたことがあるかと思います。

また以前に、誤嚥性肺炎の予後因子についての記事も挙げましたが

とりわけ、誤嚥性肺炎の患者で、パーキンソン病を合併していると、半年生存率は何と衝撃の0という研究データでした。

パーキンソン病といえば、小刻み歩行、手の振えなどのイメージもあるかと思いますが、多い症状の一つとして”嚥下障害”があり、ほぼ必発と言われてます。加えて予後に関係する重要な因子(死因は嚥下障害による誤嚥性肺炎が最多)とされてます。

これのタチが悪いところは、自覚症状に乏しい故に見逃されやすいのです。

そこで今回は、パーキンソン病で生じる嚥下障害について具体的にどのステージが障害されているのかについて論文紹介を交えながらお伝えしていきます。

ドクトル
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今回の参考論文はこちらです。

「パーキンソン病における嚥下障害」

日指志乃布 福光 涼子 石田 光代 野寺 敦子 大谷 尭広

丸岡 貴弘 中村 和己 和泉 唯信 梶 龍兒 西田 善彦

それでは本題に入りましょう。

その前に、嚥下の流れについて下図に載せておきます。

①研究対象者

今回の研究対象者は、パーキンソン病患者(以下PD患者)31例。属性は以下のとうりです。

  • 平均年齢:68.6歳
  • 男性12例 女性19例
  • 軽度から中程度(重症度分類は1〜4度)
  • 平均罹病期間:8.6年
ドクトル
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※H-Y重症度分類について

Ⅰ(軽症)〜Ⅴ(重症)まで分類される。

ちなみに指定難病医療費助成制度はレベルⅢ以上の方から対象となる。

②調査方法

スクリーニングとして、嚥下障害質問票にて問診。そのうち16例の方には、反復唾液嚥下テストと改定水飲みテストを行った。

さらに精密検査として、VF(嚥下造影検査)を行った。

ドクトル
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※用語説明

反復唾液嚥下テスト:30秒間で唾液を出来る限り飲み込んでもらう。3回以上で正常。

改定水飲みテスト:シリンジ水3mlを口に含んで飲んでもらい、むせが無いか、声がガラガラになってないか、などの様子を観察する。

③結果

スクリーニング検査では嚥下障害の検出は判定できなかった。一方、VFにて観察したところ、準備期〜食道期までほぼ全てのステージにて障害が見られた。

多い順で、咽頭期28例、口腔期19例、食道期15例、準備期(咀嚼期)1例であった。

ドクトル
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つまり、食べ物を「ごくん」と飲み込むステージが一番障害があったということです。

見かけは飲み込めてそうでも、実際は誤嚥してる、気管に引っかかているなどの所見があったとのこと。

また軽度の方でも見られたので、早い段階から嚥下障害は出てくるということも分かりました。

まとめ〜考察

では最後にまとめです。

今回のパーキンソン病の患者31例についての嚥下障害は、スクリーニング検査では検出できず、かなり見落としがあったが、精密検査をして初めて明確になった。しかも軽症の方ですらあった。

スクリーニングのみでは嚥下障害をかなりの確率で見落とすので、精密検査が出来れば必要。もし精密検査が難しければ、パーキンソン病という時点で嚥下障害はあると踏まえて対処しなければならない。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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