
こんばんは、ドクトルです。
このブログでは、皆様に役に立つであろう歯科の知識を、論文紹介を交えてお伝えしています。
要点はマーカーで引いていますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。
今回のテーマは「歯が無い人の口腔ケアで注意してほしい3点について」です。
早速ですが論文紹介に移ります。

今回の参考論文はこちらです。
はじめに〜口腔内微生物の影響について
健常者でも、お口の中は雑菌だらけです。
まず本題に入る前に、この口腔内微生物がもたらす影響について軽く触れておきます。
口腔内微生物の影響〜全身疾患と関連性あり

口腔内微生物は、あらゆる全身疾患と関連性があると言われています。
代表例として
- 誤嚥性肺炎
- 循環器疾患
- 糖尿病
こういった疾患の予防の為にも、口腔ケアの重要性が昨今謳われています。
歯が無い人でも口腔ケアは必要なのか?

でも、そもそも歯が無いから口腔ケア必要ないんじゃ?
こう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、結論必要です。
歯の有無に関わらず、口腔ケアによって細菌数を減らし、誤嚥性肺炎の予防につながります。
過去記事に詳細を挙げてますので、宜しければ併せてご覧ください⏬
口腔内微生物は、唾液に多量に含まれますが、この数はどういったことが原因で増えるのか?
今回の論文では、この点について深掘りをしています。
それでは本題に入りましょう。
①研究対象者
今回の研究対象者は、上下歯が無い人(以下、無歯顎)68人です。
属性は以下の通りです。
- 男性33名、女性35名
- 平均年齢74歳
- 過去3ヶ月以内に抗生物質の服用をした、また口腔がんなどがある方は除外した
- 上下入れ歯装着中。適合は良好。
②調査項目
続いて調査項目についてです。以下に記載します。
- 年齢
- 性別
- 安静時唾液量
- 唾液pH
- 唾液粘度
- 唾液中ヒスタチン含有量
- 舌苔付着度
- 舌圧
- デンチャープラーク付着程度(入れ歯の汚れ)
- 入れ歯の材料
- 歯が無い期間
- 口腔清掃頻度
- 喫煙習慣

※用語説明
ヒスタチン→抗菌性を持つタンパク質
上記の項目と唾液中微生物数(歯周病菌とカンジダ数)の関連性を調査しました。
果たして結果はいかに?
③結果
Ans→唾液量、舌苔の付着度、入れ歯の汚れ具合、口腔清掃の頻度が、大いに関連していた。
特に影響を及ぼしていたのは唾液量(歯周病菌とカンジダ数両方増加)

唾液が少ない(お口が乾燥している)
舌苔付着
入れ歯が汚い
口腔ケアをあまりしていない
こういった方々は、歯周病菌やカンジダ菌が増加しやすい傾向にあることが分かりました。
まとめ〜総義歯の方の口腔ケアはこの3点に気をつけよう
というわけで、まとめです。
歯が無い方の口腔ケアをする際には
- 保湿の徹底
- 舌の清掃
- 入れ歯の洗浄
を心がけることが重要です。
では最後に、いつも介護をされている方々に現場でお伝えしていることを記載して結びとさせていただきます。
保湿をするならリフレケアかオーラルピース

私が現場でオススメしているのは、リフレケアかオーラルピースです。
特に乾燥が強い方、例えば乾燥痰が多量に付着している方にはリフレケアを、そうで無い方にはオーラルピースを、など使い分けはしています。
オーラルピースの詳細については、こちらの関連記事をご参照くださいませ⏬
舌清掃は毎日少しずつ〜さらにリフレケア、オーラルピースを併用してカンジダ予防

舌清掃については、一遍に汚れを取ろうとすると味蕾(味覚を感じる細胞)を傷つけるので、毎日少しずつ行うのがベターです。
特に、舌ブラシと併せてリフレケア、オーラルピースを用いてお掃除するとカンジダ予防にもなるのでなお良いです。
※リフレケアの舌苔除去効果のエビデンスはこちら→「口腔ケア用ジェルを併用した舌清掃による要介護高齢者の舌苔除去効果」
入れ歯の洗浄は流水下で

最後に入れ歯の洗浄についてですが、義歯ブラシを用いて流水下でお願いします。
もしくはポリデントにて浸漬後、よく義歯ブラシで洗ってください。

熱湯、歯磨き粉での洗浄は変形及び傷がつく原因になるので控えてください!
ここまで読んでいただきありがとうございました。




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