炎上覚悟で言います〜禁食は長引かせるな

ここで食べてはだめ 論文紹介
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ドクトル
ドクトル

こんばんは、ドクトルです。

このブログでは、皆様に役立つであろう歯科の知識を、論文紹介を交えてお伝えしています。

要点はマーカーで引いておりますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。最悪、吹き出し部分を読むだけでも大丈夫です。

さて本日のテーマは「禁食を長引かせるな」です。

この論文の筆者様は、誤嚥性肺炎入院患者に対し、チーム医療にて早期経口摂取に取り組んでいる方です。この早期経口摂取が、在院日数と退院時経口摂取(退院してからも経口摂取を継続できるかに及ぼす影響について調査してます。

それでは本題に入りましょう。

①研究対象者

今回の研究対象者は、2014年4月から2018年3月までの4年間にて、誤嚥性肺炎で入院した65歳以上の患者380名です。

②調査項目と調査方法

続いて調査項目と方法についてです。

まず以下に調査項目を列挙します。

  • 年齢
  • 性別
  • 要介護度
  • 入院前生活場所
  • 入院時肺炎重症度分類
  • 入院後経口摂取開始までの日数
  • 入院後2日以内の経口摂取開始
  • リハビリテーションの有無
  • 経口摂取開始後発熱
  • 在院日数
  • 退院時摂食嚥下レベル
  • 退院時経口摂取の有無
  • 自宅退院の有無

これら調査項目についてチーム医療有群(341名)チーム医療無群(39名)で比較し、有意差があった項目を抽出した。

また、在院日数と関連がある項目、退院時経口摂取と関連がある項目についても抽出した。

ドクトル
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早期経口摂取の取り組みがないグループ(2014.4〜2015.3)を、チーム医療無群

早期経口摂取の取り組みをしているグループ(2015.4〜2018.3)を、チーム医療有群とした。

また退院時摂食嚥下レベルについてはこちら⏬

「誤嚥性肺炎患者に対するチーム医療による早期経口摂取が在院日数と退院時経口摂取に及ぼす影響」より引用

③結果

それでは結果です。

まず、チーム医療有群と無群で有意差があった項目は….

  1. リハビリテーション介入の割合:チーム医療有群が有意に高かった
  2. 退院時経口摂取:チーム医療有群(80%)>チーム医療無群(51%)
  3. 在院日数:チーム医療無群(32日)チーム医療有群(20日)

在院日数と関連があった項目は….

  1. 要介護度
  2. 入院前生活場所
  3. チーム医療の有無:介入あれば短くなる
  4. 入院後2日以内経口摂取開始:早いほど短い
  5. リハビリテーション介入:介入あれば短くなる
  6. 経口摂取開始後発熱
  7. 退院時摂食嚥下レベル
  8. 退院先

最後に退院時経口摂取と関連があった項目は….

  1. 年齢
  2. チーム医療の有無:有れば退院時も経口摂取できる
  3. 入院後2日以内の経口摂取開始:行っていれば退院時も経口摂取できる

まとめ

では、まとめです。

「早期の経口摂取2日以内による介入が、一番のリハビリ」

「チーム医療にて患者さんにアプローチすることで、入院期間も短くなるし、退院時に経口摂取が可能となる可能性が高くなる」

ドクトル
ドクトル

誤嚥性肺炎の治療の本質は、嚥下機能の回復にある。

嚥下機能は嚥下によって鍛えられる。

筋トレと一緒で、使わなければ衰えるだけです。

安全の為の臥床安静、誤嚥防止の為の禁食。しかしこれらは、皮肉にも廃用を加速させてしまいます。だからあえて炎上覚悟で言います。禁食はするなとは言いません。しかし「禁食は長引かせるな」これだけははっきりと申し上げときたいところです。

また違った見方をすると、入院先の環境、すなわち連携プレーがどれだけ充実しているかも予後に大きく影響してくるのではないでしょうか。

「入院」ということになると、ご家族様はかなり慎重になられます。結構ネガティブなイメージを持たれている印象です。

実際、居宅のご家族様で「入院させると弱って戻ってくるからあまりさせたくない。できるなら家で世話をしたい。病院の選び方も分からない。」

こういった声は本当に多いです。

参考までに、摂食嚥下関連病院の情報が集まっている医療資源マップのリンク先を載せておきます。ちなみに全国版です。(詳しくはこちらから

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ここまで読んでいただきありがとうございました。

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