
こんばんは、ドクトルです。
このブログでは、皆様に役立つであろう歯科の知識を、論文紹介を交えてお伝えしています。
要点はマーカーで引いておりますので、その部分を読むだけでも内容はご理解いただけるかと思います。
さて、本日は「行動変容」について、論文紹介を通じてお伝えしていきます。
行動変容とは、文字通り行動を変えることで、成長・改善を期待することを言います。

はじめに〜歯周病予防の徹底を
過去記事で何度も上げていますが、歯周病は認知症を始め、様々な全身疾患と関連していることが判明しています。
従って、近年はこの歯周病を予防する対策に重きが置かれている傾向にあります。
対策の一つとして、日本歯科医師会が掲げる「標準的な成人歯科健診プログラム・保健指導マニュアル」があります。
「標準的な成人歯科健診プログラム・保健指導マニュアル」とは

このマニュアルは、日本歯科医師会で平成21年に策定されたものです。

内容を端的に言いますと
「歯科健診を受診することで、自身の口腔内状況を把握してもらい、加えてその現状を元に行動変容を促す」といったプログラムです。
今回ご紹介する論文は、歯科健診と併せてこのマニュアルを行うと、どの程度優位性が測れるか、またそれによる行動変容がどのくらい持続するのか、を調査しています。
対象および方法
研究対象者と調査方法については以下の通りです。
研究対象者
今回の研究対象者は、新潟市内の製造業、飲食業、建設業の3企業の従業員129名です。
属性は以下の通り。
- 平均年齢:44.6±11.5歳
- 男性100名、女性29名
- 製造業59名、飲食業32名、建設業38名
研究方法
129名を介入群65名、対照群64名にランダムに振り分けました。
両群共通して行ったのは、歯科健診と質問紙調査。
介入群のみ「標準的な成人歯科健診プログラム・保健指導マニュアル」にて、事前に研修を受けた歯科衛生士により保健指導を行った。
なお、質問紙調査は3ヶ月後、6ヶ月後、1年後の3回に分けて行った。
生活支援プログラム質問紙について
質問紙調査は、日本歯科医師会が作成した「生活支援プログラム質問紙」を用いて行われた。
項目は20項目にて構成されています。
詳細はこちらのリンクからご確認ください(生活支援プログラム 日本歯科医師会)
保健指導の内容
保健指導の内容としては、歯科受診を勧める、う蝕・歯周病に関する基本的知識の提供、セルフケアの方法、改善などです。
結果
それでは結果です。
介入群、対照群共に改善した項目は
- 職場や外出先での歯磨き
- フッ素入りの歯磨剤の使用
- 歯間ブラシ・フロスの使用
特に介入群については、対照群と比較して変化量が特に大きかった。
データについては以下掲載します。(介入群を赤丸、対照群を青丸で図示しています。)


対照群は改善はしているものの、変化量がやや緩やかな傾向にありました。
一方介入群で目立つ点は、職場での歯磨きを行う者の割合、フッ素入りの歯磨剤を使用する者の割合が2倍以上に増加しており、1年間は行動変容が持続していました。
まとめ
では、最後にまとめです。
「歯科健診に加えて、保健指導による行動変容を促すことで、改善効果はより大きくなり、その効果は1年間は持続することが示唆される。」
予防歯科の分野でも言われていますが、結局のところ重要なのは「家でのセルフケア」です。
歯科医院でどれだけお口を綺麗にしても、セルフケアが出来ていなければ効果は2週間しかもたないと言われています。これは、過去に論文で研究発表されています。
このセルフケアを頑張ってもらう為に、要となるのが「行動変容」に繋がってきます。
しかし、この「行動変容」が一番難しく頭を悩ませるんですよね….
これも予防歯科のセミナーで言ってたのですが、変わるきっかけというのは「危機感」にあるとのことです。「ケツに火が付かないと動かない」とはよく言ったものですが、人間ってそういうものらしいです。
- 歯周病になると認知症を始め、様々な全身疾患に罹るリスクが跳ね上がる(冒頭の関連記事を参考にしてください)
- 入れ歯になると、歯があった時ほど噛めなくなるので、食事がしづらくなる
この事実を、どう捉えるか。
もし「ヤバイ!」と思ったら、歯医者に行って歯周病になっていないか調べてもらってくださいね。
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オーラルピースの関連記事についてはこちら→口腔ケアをされている介護、看護の方へおすすめ〜宇宙歯磨き「オーラルピース」
ここまで読んでいただきありがとうございました。




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