こんばんは、ドクトルです。
さて、今回は、施設でよく使われている「とろみ剤」に関係することですが
このとろみ剤が、薬の効き目を悪くするかもという話です。論文を交えながらご説明していきます。

今日の記事はこんな方にオススメ ⏩普段とろみ剤を混ぜてお薬を投与している方 とろみ剤が薬の効き目に影響を及ぼすことを知らない方
それでは本題に入りましょう。
①なぜこの研究が始まったか?
事の発端は、「とろみ剤を使用して錠剤を服用した患者の便中に未崩壊の錠剤が見つかった」という報告です。

まさか、錠剤の崩壊にまで影響しているなんてビックリ!
②とろみ剤に浸漬した錠剤の崩壊性を調査
- キサンタンガム系とグアーガム系のとろみ剤を使用
- 30分間浸漬
- とろみレベルは「濃いとろみ」「中間のとろみ」「薄いとろみ」の3段階
結果:キサンタンガム系は「濃いとろみ」ほど錠剤がそのまま残っていた。反してグアーガム系は全ての濃度において錠剤がそのまま残っていた。

とろみ剤添加では、ほとんどそのままの形で残っていました。
※グアーガム系→「とろっと」した感じ。ベタつき多い。安い。
キサンタンガム系→「するっと」した感じ。あんまりベタつかない。最近の主流。
③とろみ剤に浸漬した錠剤の溶け出す量を調査
- キサンタンガム系とグアーガム系のとろみ剤を使用
- 30分浸漬
- 120分後の溶出量を測定
結果:溶出量がとろみ剤無しでは82%、キサンタンガム系では26~41%、グアーガム系では2.6%

とろみ剤添加により、薬が溶け出す量が大幅に減少しています💦
つまり、有効成分が体に行き渡りにくいということです。
④懸濁液をとろみ剤と混ぜたらどうなるか?

※懸濁液とは
薬を潰さずに、お湯やお水にそのまま混ぜたもの。
飲み込み機能が低下しており、服薬が難しい方によく使用する。
これにとろみ剤(キサンタンガム系)を混ぜたら、溶出性にどう影響するかについても調査しました。
結果:48~80%とややばらついたが、やはりとろみ剤による影響はあった。
⑤薬の効き目について(下剤の緩下作用と血糖値降下作用)
- 懸濁液にキサンタンガム系とろみ剤2種類、寒天系とろみ剤1種類、服薬ゼリーを混和
- 室温で30分放置
- 用いた薬は下剤
- マウスに経口投与して調査
結果:寒天系とろみ剤、服薬ゼリー群はほぼ100%のマウスが下痢を起こした。一方、キサンタンガム系とろみ剤は2種類のうち、片方100%、もう一方が40%の割合で下痢を起こした。
一方、血糖値降下作用についても調査しました。
- 被験者9名
- とろみ剤無しと有りで比較
- 薬はボグリボース口腔内崩壊錠(食後血糖降下薬)
- とろみ剤はキサンタンガム系
- 濃度は「濃いとろみ」
- 服用後の120分計測
結果:とろみ剤浸漬群が、とろみ剤無し群と比較して120分ずっと血糖値は高かった。

とろみ剤添加で、薬の効き目も落ちていることが分かります。
まとめ
「とろみ剤により薬がコーティングされてしまい、効き目も悪くなる可能性が高い。」

服薬が難しい方には、とろみ付きよりも、ゼリー丸呑み法がベターかもしれません。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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