こんばんは、ドクトルです。
突然ですが皆様、普段使用している歯ブラシはどのように保管されてますか?
水洗後そのままコップに立ててる、または外気と交通している場所に置いておくなどでしょうか?
本日は、口腔清掃器具の洗浄・保管方法が、いかに細菌数に影響を及ぼすかについて、論文紹介を交えてお伝えしていきます。

この記事を読んで分かること ⏩口腔清掃器具の適切な洗浄方法と保管方法
それでは本題に入りましょう。
①使用材料
使用材料は以下の通りです。
- 歯間ブラシ「商品名:DENT.EX歯間ブラシ4S ライオン歯科材(株)」
- 菌株:S.mutans、L.casei、C.albicansの3種類

※用語説明
S.mutans、L.casei→虫歯の原因菌
C.albicans→カンジダ、誤嚥性肺炎の原因菌
②実験方法
次に実験方法についてです。以下順番に記載していきます。
- 菌液20mlに歯間ブラシを3分間浸す
- 洗浄群と未洗浄群に分ける
- 洗浄群を、湿潤環境(湿度90% 室温20℃)と乾燥環境(湿度55% 室温20℃)にそれぞれ24時間放置
- 24時間37℃培養
- 前述した3種類の細菌数を測定

乾燥環境は一般的に人が過ごす環境に近づけた設定とのことです。
③結果
それでは、細菌数はどういった変化を見せたのでしょうか?
- 水洗での洗浄においては、S.mutansのみあまり変化しなかった。他は減少した。
- L.casei→洗浄後4600万個 湿潤後6億6千万個 乾燥後3750万個
- C.albicans→洗浄後124万個 湿潤後1億1600万個 乾燥後2450万個

注)S.mutansのみ洗浄で変化しなかったので、保管の実験では除外したとのことです。
内容を簡潔にまとめると、湿潤した環境では菌数が爆発的に増加した。
一方乾燥下ではL.caseiの場合洗浄後と比較して、やや減少した。C.albicansの場合増加した結果になった。
まとめ
上記の結果から
- 『とにもかくにも湿った環境での保管は避ける』
- 乾燥させても、水洗後より減らすことは難しいので、最初の段階の水洗を徹底的に行う。
- 乾燥した通気性の良い環境で保管する。
実際施設に訪問診療でお伺いする際に、「歯ブラシケースの蓋を閉めずに外気と触れさせてください」ということは頻繁に言ってます。
丁寧に保管しようと蓋を閉めてくれる方がいらっしゃるのですが、かえって不潔になるうえにカビが生える原因にもなりますので、そこは控えていただいてます。
また施設によっては、試験管を立てるスタンドに歯ブラシセットを置き、日光の当たるところにスタンドを設置してもらう、ということもしていただいてます。(イメージはこんな感じです⏬)


もう一度まとめると
①よく水洗いし、通気性の良い乾燥した場所で保管する
②湿気た所に放置しない
以上の2点を心がけるのが良いでしょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。





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