こんばんは、ドクトルです。
昨日の記事でも少し触れましたが、引きこもりで、外部との関わりが少ない独居の高齢者は、不健康になりがちである、とお伝えしました。
参考記事はこちらです⏬⏬
一般的に高齢者の不健康な状態を、専門用語で「フレイル」と呼びます。
フレイルとは、加齢や疾患によって身体的・精神的なさまざまな機能が徐々に衰え、心身のストレスに脆弱になった状態のことです。
Medical Noteより引用
そこで今回は、このフレイルのなかでも『社会的フレイル』と身体の影響について、論文紹介を交えながらお伝えしていきます。

今回ご紹介する論文はこちらです。
渡邉 観世子、石坂 正大、原 毅、小林 薫、沢谷 洋平、伊藤 晃洋、屋嘉比 章絋
本澤 薫、長坂 嘉久、久保 晃
今回は、先に結論だけ書いておきますね。
この記事を読んで分かること ⏩ずっと孤独な環境にいる高齢者は、病気になりやすい。
それでは本題に入りましょう。
①社会的フレイルとは?

まず、社会的フレイルとはどういった状態を指すのでしょうか?
この論文では、以下の5つの項目で2つ以上該当する場合を「社会的フレイル」、1つ該当する場合を「社会的プレフレイル」、1つも該当しない場合を「健常」と定義する、と書かれていました。
5項目は以下に列挙します。
- 独居である(はい)
- 昨年に比べて外出頻度が減っている(はい)
- 友人の家を訪ねている(いいえ)
- 家族や友人の役に立っていると思う(いいえ)
- 誰かと毎日会話をしている(いいえ)

ざっくり言いますと
引きこもりで、あまり人との関わりを持たない状態を「社会的フレイル」としています。
②研究対象者
今回の研究対象者は、栃木県大田原市在住の高齢者134名です。属性は以下のとうりです。
- 平均年齢:76歳
- 男性26名、女性108名
- 認知機能正常
③調査方法
調査方法は以下のとうりです。
- 社会的フレイルと身体的フレイルの調査
- 身体機能を下腿周径、握力、歩行速度、身体組成(骨格筋量)の項目で計測、その結果によりサルコペニアの割合を調査。

※用語説明
サルコペニアとは・・・筋肉量の減少により身体機能が低下した状態のこと
以下サルコペニア診断基準です。
下腿周径:男性34cm未満、女性33cm未満
握力:男性28kg未満、女性18kg未満
歩行速度:秒速1m未満
骨格筋量:男性7.0kg/㎡未満、女性5.7kg/㎡未満
以上の調査結果に基づき、フレイルの方と健常者で身体機能を比較しました。また、社会的フレイルの身体の特徴を分析し、関係因子についても調査しました。
④結果
さて結果はいかに。
- 社会的フレイルは全体の14.2% 社会的プレフレイルは33.6%であった。
- 社会的フレイル者では、握力と歩行速度が健常者と比較してかなり低かった。
- 社会的プレフレイル者では、下腿周径、歩行速度、骨格筋指数が、健常者よりもかなり低かった。なお平均値はサルコペニアに該当する値であった。
- 社会的フレイルで一番関係している要素は、歩行速度であった。
- 社会的フレイル判定の5項目で、最多だったのが「独居である」であった。二番目が「外出頻度が減っている」であった。
まとめ
それでは最後にまとめです。
- ①高齢者の独居は、社会的フレイルになるリスクが高い
- ②社会的フレイルになると身体機能の低下をきたし、サルコペニアになりやすくなる。
- ③社会的プレフレイルの段階でも、すでにサルコペニアの状態であり危険。
- ④社会的プレフレイルの段階から、外部との環境に接するよう支援することが必要。

「最近あの人見かけないな・・・」と思ったら要注意です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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