食欲がない〜まずは視覚から

少女の目 論文紹介
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おはようございます。ドクトルです。本日は平日ですが祝日の為、朝から活動しています。

さて、昨日の記事の話になりますが、食形態を普通食に回復させる、またそれを維持する工夫として、身体機能の調整はもちろんのこと、食欲、意欲というメンタルの面でもケアをしているとありました。

今回は、それに付随しまして『高齢者の食欲を刺激するにはどういった方法があるか』という内容で、研究論文をご紹介しながら綴っていきます。

ドクトル
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今回ご紹介する論文はこちらです

「高齢者の食欲増進に対する視覚刺激の基礎的研究」 

山口県立大学大学院 健康福祉学研究科博士後期課程 光貞美香

この記事がオススメな方最近食が進まない高齢者の方 自分が作った料理を食べてくれなくて悩んでいる介護者の方々 

それでは本題に入りましょう。

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①高齢者の方はなぜ食欲が減るのか

そもそも、なぜ高齢者の方々は食欲が減るのでしょうか?本文では以下のように記載されていました。

  • 食欲のサーカディアンリズムが偏る
  • 胃にガスが溜まる
  • 満腹中枢、摂食中枢を流れる神経伝達物資の加齢変化
  • 感覚器機能、嚥下機能の低下
ドクトル
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要は、食欲を司るホルモンバランスの低下味覚の低下飲み込みの運動機能の低下にあるということですね。

上記は「加齢に伴う食欲低下」である、即ち生理的な加齢現象とされています。

この研究論文では、こういった食欲低下防止が食事摂取量を増加しひいては低栄養防止に繋がるのでは、と書かれています。

では、食欲はどういったメカニズムで引き起こされるのか次節で見ていきます。

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②食欲が生じる要因について

食欲を司る役割を有するものは、ざっくりと分けると以下の5つとされています。

  • 食欲中枢
  • 胃から刺激
  • 温度
  • 大脳による調節
  • 精神状態(視覚、嗅覚、味覚、触覚、聴覚、温覚)

他にも、ストレス、薬の副作用、疾患など多くの要因がありますが、高齢者の場合、赤字で示した感覚機能の低下、つまり五感刺激低下が特に著しく、食欲低下を加速させている可能性がある、と書かれており、この論文ではこの点に着目して話を進めています。

そして、食欲とはこの五感刺激から始まり、胃などの消化器を活発にするとされます。

つまりスタートである五感刺激を活発にしないと、食欲は起こるはずがないということです。

本文では以下のように記載されていました。

高齢者の場合は、感覚機能の低下により五感刺激が刺激として捉えられなくなっている可能性がある。〜(略)〜 五感刺激が刺激の役割を果たしていなければ、その後につながるはずの消化管活動への影響もなく、食欲へも影響しないということになる。よって、どのような五感刺激が必要なのかを考えることが高齢者に対しては特に重要であると考える。

「高齢者の食欲増進に対する視覚刺激の基礎的研究」より引用 一部改変

それでは、五感のうち、どれが食欲に一番影響するのでしょうか?次節で見ていきましょう。

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③一番の影響は視覚

視覚情報が食事のおいしさに与える影響はおよそ87%に及ぶとされており、実際先人の研究で証明されているとのことです。

この論文では、一番影響のある『視覚』に絞って研究を進めています。

さらに、視覚は、色覚、形態覚、光覚の3要素で構成されているとし、あまり研究がなされていない、形態覚と光覚について研究を進めています。

④形態覚(形の見た目)が及ぼす影響

  • 研究対象者→大学生20名と高齢者18名での比較
  • 方法→普通のバナナと潰したバナナをそれぞれ食べてもらい、自律神経系の反応を観察。また食べた後に見た目、匂い、味、温度、食感についてアンケートを実施。
  • 場所と日時→午前中 室温26℃ 湿度61% 実習室 2日間実施

結果→潰した形に対する評価(見た目、匂い、味、温度、食感)が、大学生、高齢者共に低く抵抗を示していた。

ドクトル
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バナナといったら、上図のようなイメージをされる方が大半であると思います。

これを、わざわさすり潰されて提供されたという経験はあまりないですよね。

そんなことされたら普通に不味そうですよね….

要はどういうことかと言いますと、自分が記憶している、イメージしている食形態と違ったら食欲が湧かなくなるということを表しています。これは実際先人の方の研究(阿部啓子、山本隆、的場輝佳:食と味覚 P33)でも証明されており、今回の研究で正しくその通りになったということです。

⑤光覚(食品に当てる光の色)が及ぼす影響

  • 研究対象者→認知のない高齢者24名(男性14名 女性10名 平均年齢74.4歳)なお3名が白内障により通院中とのこと。
  • 方法→照度(200,400,600ルクス)で当てられた食事画像を見て、自律神経系の反応と見た時のイメージを調査。
  • 場所と日時→4日間 実験室と公民館 室温21℃ 湿度52.2% 時間帯は被験者に合わせた。

結果→照度が高くなるほど、食事画像の評価が良かった。

ドクトル
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200ルクスが非常階段の明るさとのことです。この程度の明るさであると、高齢者の方にとっては見づらいということもあり、認識が遅くなり、それがかえってストレスになったようです。例えば、視界がぼやけたりすると不快感ありませんか?ああいうイメージです。

一方600ルクスは一般病棟の明るさとのこと。これぐらいであれば、はっきり見えるので即座に認識できるようです。

要は、食事をする時は病院ぐらいの明るさがベターということですね。

まとめ〜感想

以下今回のまとめです。

  • 食欲と一番関連する感覚は視覚
  • 本来の馴染みのある形での提供が、食欲は増す傾向にある
  • 光が明るい方が、食べ物を認識しやすく、食欲は増す傾向にある

施設ではペースト食、やわらか食など提供されている所が多いです。

語弊の無いように申し上げときたいのですが、調整食が一概に不適切だと批判している訳ではありません。身体機能が著しく低下してしまった方々にはやむを得ない場合だってありますし、無論安全性を重視すべきです。

しかし、特に検査もせず、単に食形態を落とされている方、例えば認知症の方に多いのですが、むせも発熱も無いのに、いきなり拒否等で食事をしなくなったから落とした、など。

本当は普通に食べれる可能性が高いのに、なぜか食形態を落とされている方

こういった方結構いらっしゃいませんか?もしかしたら、今日の内容のような「食欲低下」も原因で、食事が進まないかもしれないですね。

なので食事に消極的になった高齢者に対しては、身体機能面の評価のみでなく、食欲という面からアプローチする引き出しも持ち合わせておく必要性もあって然るべきでしょう。

ちなみに、過去記事にも食事が進まない原因について記したのがありますので、一応ご紹介させていただきます。宜しければご覧ください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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