こんばんは、ドクトルです。
本日は、誤嚥性肺炎の関連要因調査について(もはや3回目笑)、論文紹介を交えながらお伝えしていきます。
なお関連記事はこちらです⏬⏬ 宜しければ併せてご覧ください。
こちら2つの論文で挙がっていたのは、ADLの低下、低栄養、舌運動機能低下、軟らか食の摂取、歩行能力、認知面でした。なお、共通してた項目は「ADLの低下」でした。
さて今回はどういう結果になったのでしょうか?

今回ご紹介する論文はこちらです。
それでは本題に入りましょう。
①研究対象者
今回の研究対象者は、北海道にある介護保険施設入所者454人です。
詳細は以下の通りです。
- 施設の内訳は、特養11施設、老健8施設、介護療養型医療施設3施設
- 口腔ケア低レベル施設群(200名)と口腔ケア高レベル施設群(254名)の2グループに分けた。
- 口腔ケア低レベル施設群→歯磨きと義歯清掃のみ
- 口腔ケア高レベル施設群→歯磨き、補助的清掃用具での清掃、義歯清掃、舌および口腔粘膜の清掃、誤嚥予防の為の食前体操
この2グループを平成23年11月〜平成24年3月まで調査しました。なお、口腔ケアについては介護職員、看護職が行なったとのことです。

口腔ケアのメニューが少ないのが低レベル、多いのが高レベルということですね。
②調査項目
2グループについての調査項目は以下の通りです。
- 性別
- 年齢
- 身長
- 体重
- 全身疾患の内容
- 食事形態
- 37℃以上の発熱日数
- 肺炎発症の有無及び入院日数
- インフルエンザ発症の有無及び入院日数
- インフルエンザワクチンの接種既往の有無について
- 肺炎球菌ワクチンの接種既往の有無について

この内、どの項目が肺炎の発症と発熱に関係するかを調べていきます。
③結果
それでは結果です。
Ans→関連因子は非経口摂取(経管栄養)であることだった。
まとめ
ではまとめです。
今回の論文では、誤嚥性肺炎、発熱の発症に関する因子は「経管栄養(胃ろうを含む)」でした。なお口腔ケアのメニューによる差は今回は見られませんでした。
胃ろうといえば、以前に「胃ろうの予後を左右するものとは?」という記事の中で、胃ろう中の死因は約5割弱が肺炎であるとお伝えしましたが、正に今回の結果とリンクする形になりましたね。
なお本論文においては、胃ろうの見解についてこう述べていました。
われわれの結果は、前田らや豊里らの結果と一致する。前田らは、在宅療養患者における調査で、胃ろうおよび経鼻経管栄養の非経口摂取群は、経口摂取群に比べて、肺炎の罹患率が高く、誤嚥性肺炎の起因菌も多かったと報告している。豊里らは、長期の経鼻栄養管理は、摂食嚥下機能低下をもたらし誤嚥性肺炎を助長する要因となると報告している。したがって経管栄養(胃ろうを含む)の者が肺炎のリスクが高かったのは、口腔機能を使わなかったことによる嚥下機能の低下および摂食を行わないことによる唾液分泌の減少による口腔内の自浄作用の低下と関連しているのではないかと考えられる。
口から食べないー飲み込みの筋肉が落ちるー喉の機能も落ちるー誤嚥しやすくなる
という負のループは侮れません。
ここまで読んでいただきありがとうございました。




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