こんばんは、ドクトルです。
もはや完全に定番化してしまいましたが、今日も論文紹介です。
嚥下(飲み込み)は実は呼吸リズムとも関連があると言われています。
そこで今日ご紹介する論文は、呼吸トレーニングの効用についてです。

今回の参考文献はこちら
「嚥下機能低下を呈した要介護認定高齢者に対する呼吸トレーニングが呼吸機能、嚥下機能、QOLに与える効果」
巻直樹 高橋大知 仲田敏明 長谷川大吾 若山修一 坂本晴美 藤田好彦
高田祐 佐藤幸夫 柳久子
この記事を読んで分かること ⏩呼吸トレーニングの有効性
それでは本題に入りましょう。
呼吸トレーニングとは?

そもそも呼吸トレーニングって何?って話ですが
深呼吸をして胸郭を広げる運動をしたり、息を深く吸って長く吐く練習など、呼吸に関わる筋トレのことです。

①研究対象者:65歳以上の要介護認定を受けた高齢者31名
以下研究対象者の属性を示します。
- 平均年齢:82.8歳
- 女性多い(64%)
- BMI:22.9
- 平均要介護度:1.5
- 基礎疾患:脳卒中約半数
- 認知度:正常
- 嚥下障害疑いあり

介護度も低く、比較的健康な高齢者ということですね。
今回は、この対象者に週3日、1日に通常リハ約10分、呼吸トレーニング約10分、合計20分の理学療法を2ヶ月行ないました。その後は通常リハのみでの1ヶ月、6ヶ月後をそれぞれ調査しました。
要は、通常リハと呼吸トレーニングをした期間が2ヶ月まで。その後は通常リハのみで6ヶ月様子を診た、ということです。
②通常リハの内容
通常リハのメニューを以下に示します。
- 上下肢関節可動域練習
- 上下肢筋力増強練習
- バランス練習
- 歩行練習
イメージはこんな感じです⏬

③呼吸トレーニングの内容
続いて、呼吸トレーニングのメニューを以下に示します。
- 呼吸筋訓練器を用いたトレーニング→横隔膜を鍛える
- 咳嗽練習(咳払い)
- 胸郭ストレッチ
- ホームエクササイズ→1日1回、呼吸練習と咳嗽練習を10回1セット3回実施。なお、実施率は89%だったとのこと。対象者は在宅居住者のみ。
※呼吸器訓練器はこういう道具です⏬⏬
④調査項目は8つ
通常リハ、呼吸トレーニング1ヶ月後、2ヶ月後、その後通常リハのみ1ヶ月、6ヶ月の経過において、8つの調査項目がどういう変化があったかを見ました。
調査項目は以下に示します。
- 呼吸機能検査→肺活量、1秒率(1秒で吐ける量)、咳嗽能力
- 筋力評価→握力、腹筋
- 胸郭柔軟性
- 運動耐容能→6分間歩行してもらいバイタルサインを確認
- 認知症評価
- 嚥下機能検査→反復唾液嚥下テスト
- ADL(日常生活動作能力)評価
- QOL(生活の質)評価

※用語説明
反復唾液嚥下テスト→30sの間に唾液を可能な限り嚥下してもらい、その回数を測定する。3回以上が正常とされる。
⑤結果
Ans→通常リハと呼吸トレーニングをしていた2ヶ月までは、呼吸機能、嚥下機能、QOLは有意に改善した。しかし、その後の通常リハのみでの期間になると、呼吸機能、QOLは低下した。
まとめと感想

通常リハと併せた呼吸トレーニングにより、呼吸機能はもちろん、同時に嚥下機能、日常生活の質まで向上することが分かりました。
意外に思ったのは、1日にたった10分でも効果が出たということ。これぐらいの時間であれば手軽に始めれそうです。
しかし、呼吸トレーニングのみでの経過が今回調査されていないので、どういう経過を辿るのかは少々気になる所です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
現在使用中のサーバーです⏬⏬




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