
こんばんは、ドクトルです。
このブログでは、皆様に役立つであろう歯科の知識を、論文紹介を交えてお伝えしています。
要点はマーカーで引いておりますので、その部分を読むだけでも内容はご理解できるかと思います。最悪、吹き出し部分を読むだけでも大丈夫です。
本日のテーマは「経口摂取vs非経口摂取」です。
一般的に、炎症、発熱発症に対しては、誤嚥性肺炎を疑われ禁食と抗生剤投与がなされます。
今回の論文は、この禁食、すなわち非経口摂取の継続は、本当に発熱と炎症の抑制策になるのだろうか?という観点で綴られています。

それでは本題に入りましょう。
①研究対象者
今回の研究対象者は、療養型病院に入院している経口摂取患者23名(ON群)と非経口摂取患者58名(EN群)です。
なお、両グループの現疾患と栄養摂取状況についてはこちら⏬


ON群は、約3割が常食、残りが嚥下食
EN群は、大半が胃ろうにて栄養摂取されています。なお胃ろう造設してから約3年経過しているとのこと。
なお、その他の情報として
- 一日3〜4回口腔ケアをしていた。(ON群は患者本人、EN群は看護師介助)
- 食後、経管栄養後は逆流防止の為、2時間ベッドの角度30度にて安静。
- 定期的に言語聴覚士による嚥下機能検査を実施していた。
②調査項目と方法
調査項目は、過去6ヶ月の体温変化と発熱日数、及び定期的に行われていた採血のデータ。
これらを、ON群とEN群の両者にて統計解析を行ない、データを比較。
※発熱に関しては37.5℃以上とした
③結果
それでは結果です。
- 発熱日数:EN群が有意に多かった。
- 血液データ:WBC(白血球)とCRP(炎症度)について、EN群が有意に高値であった。
詳細の図はこちらです⏬


まとめ
では、まとめです。
「口から食事を摂らないことは、発熱、炎症を抑制する担保になるとは言い難い」
本論文での考察は以下の通りでした。
- 3年以上経口摂取をしていないことから、嚥下関連筋群を低下させた
- 炎症、発熱の原因は不明だが、おそらく誤嚥性肺炎
- 非経口摂取は、一時的には有効であるが長期にわたって行うものではない
- 発熱、炎症が改善された時点で経口摂取に戻していくのが望ましい

私の現場でも、長年非経口摂取のまま放置されている現状は未だ多くあります。
本当に必要なのか疑わしい経鼻チューブ、経口摂取できそうなのに何年も胃ろうの方….
語弊の無いように申し上げておきますが、非経口摂取を批判している訳ではありません。神経疾患等で、やむを得ない場合もあるでしょう。
そうでなくて、本当は口から食べれるであろう方が、チューブ、胃ろうで放置されている現状が残念でならないわけであります。
もし在宅にて介護されている方で、こういう思いがもし少しでもあるならば、お近くの訪問歯科に一度ご相談されてください。
胃ろうに関しては過去記事にも載せていますので、宜しければ併せてご覧ください
ここまで読んでいただきありがとうございました。




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