こんばんは、ドクトルです。
今回はADL(日常生活能力動作)の低下と口腔内細菌数の関連性について論文紹介を交えながらお伝えしていきます。

ドクトル
今回ご紹介する論文はこちらです。
それでは本題に入りましょう。
①研究対象者
今回の研究対象者は、埼玉県内の某リハビリテーション施設の入所者、及び介護力強化型病院の入院患者36名です。
属性は以下の通りです。
- 平均年齢:75.9±13.8歳
- 要支援から要介護2まで
- 自分で歯磨きはできる
- 10mlの生理食塩水を30秒うがいし吐き出せる
- うがいを1日7回遂行できる
- 検体採取の3週間前から抗生物質を服用していない
- 既往は脳血管障害が最多。その他は骨折、パーキンソン病
- 義歯装着者は20名
- 平均歯数:12.7±11.0本

ドクトル
今回の研究対象者は、寝たきりではないが、身体にやや不自由があるレベルです。
②調査方法
方法は以下に記載します。
- 生理食塩水を1日7回うがいしてもらい、吐き出したものを試験管に移し、綿棒にて採取した。
- 1回目は昼食前(11:30)、2回目は昼食後(12:30)、3回目は夕食前(17:30)、4回目は夕食後(18:30)、5回目は就寝前(21:00)、6回目は起床時(7:00)、7回目は朝食後(8:00)とした。
- 計7回採取し、細菌検査を行った。

ドクトル
測定した細菌数を、時間帯別、年齢別、性別、疾病別、義歯の有無、歯の数で比較しました。
③結果
それでは結果です。
- 一番細菌数が多かった時間帯は起床時
- 3食後とも、食前に比べて細菌数は減っていた
- 性別で見ると、女性の方が細菌数は多かった
- 疾病、年齢による差はあまりなかった
- 義歯の有無でも差はあまりなかった
- 歯の数でも差はあまりなかった
細菌数の変化については下に図を載せておきます⏬


ドクトル
就寝前から起床時にかけて、一気に細菌数が上がってますね….
まとめ
それでは、まとめです。
『寝る前から、口腔内細菌数は増加し起床時にピークを迎える。なので寝る前に口腔内を清潔な状態にすることがとても重要』
誤嚥性肺炎については、過去にいくつか記事にしていますが(下に載せておきます)、口腔内細菌を含んだ唾液を多量に誤嚥することにより、肺炎になります。
つまり、寝る前に口腔内細菌数を減らすことは、誤嚥性肺炎の予防につながるということです。
また、歯の数ではあまり差がなかったという結果については少々意外でした。
要は歯が無くても、口の中は常に細菌だらけということですね。
以前歯が無い人にも口腔ケアは必要である、という論文をご紹介しましたが、やはり理論的に筋は通ってそうです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。


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