こんばんは、ドクトルです。
今日のテーマは誤嚥性肺炎の生命予後について、論文紹介を交えてお伝えしていきます。
※誤嚥性肺炎の過去記事についてはこちらです⏬⏬

ドクトル
今回ご紹介する論文はこちらです。
塚谷 才明、小林 沙織、金原 寛子、山本 美穂、長東 菜穂、酒井 尚美、中村 さおり、小林 孝行、兼田 美沙子、牧野 桜子、赤田 拓子、岡部 克彦、小森 岳、高塚 茂行
このブログを読んで分かること ⏩誤嚥性肺炎の予後について、また予後に影響するもの
それでは本題に入りましょう。
①研究対象者
今回の研究対象者は、誤嚥性肺炎入院患者109例です。属性は以下に挙げます。
- 平均年齢:86歳 (64歳以下は5例、それ以外は65歳以上)
- 2018年4月から2019年3月までの1年間調査
②調査方法
続いて調査方法についてです。
今回生命予後に関連するであろう因子については、以下の項目で定め、これらの項目別で予後について調査しました。
- 年齢(74歳以下、75から89歳、90歳以上の3群)
- 性別
- 嚥下障害重症度(正常〜機会(時々)誤嚥、水分誤嚥〜唾液誤嚥の2群)
- ADL(日常生活自立度)(非寝たきり、寝たきりの2群)
- BMI(18.5以上、16~18.5未満、16未満)
- 代替栄養の有無
- 既往症、併存症(肺炎既往、脳梗塞既往、パーキンソン病、認知症、高血圧、糖尿病)
※嚥下障害重症度分類については以下をご参照ください

③結果
Ans→すべての項目で有意差を認めた。(影響があった)
結果を表にまとめてみました。
6ヶ月生存率 | 1年生存率 | |
誤嚥性肺炎 全例 | 54.8% | 41.8% |
性別 | 6ヶ月生存率 | 1年生存率 |
女 | 59.2% | 46.9% |
男 | 51.3% | 37.6% |
嚥下障害重症度 | 6ヶ月生存率 | 1年生存率 |
正常〜時々誤嚥 | 78.3% | 56.7% |
水分、食物、唾液誤嚥 | 42.6% | 34.1% |
ADL | 6ヶ月生存率 | 1年生存率 |
非寝たきり | 73.7% | 59.3% |
寝たきり | 38.9% | 25.4% |
BMI | 6ヶ月生存率 | 1年生存率 |
18.5以上 | 66.3% | 52.2% |
16〜18.5 | 58.0% | 41.9% |
16未満 | 29.6% | 22.2% |
代替栄養 | 6ヶ月生存率 | 1年生存率 |
導入あり | 70.3% | 62.9% |
導入なし | 49.6% | 34.7% |
肺炎の既往 | 6ヶ月生存率 | 1年生存率 |
なし | 56.7% | 37.8% |
あり | 36.0% | 28.0% |
脳梗塞の既往 | 6ヶ月生存率 | 1年生存率 |
なし | 53.8% | 38.2% |
あり | 43.4% | 26.0% |
パーキンソン病 | 6ヶ月生存率 | 1年生存率 |
なし | 54.1% | 37.2% |
あり | 0.0% | 0.0% |
認知症 | 6ヶ月生存率 | 1年生存率 |
なし | 49.5% | 34.0% |
あり | 55.1% | 37.9% |
高血圧 | 6ヶ月生存率 | 1年生存率 |
なし | 51.1% | 36.7% |
あり | 51.6% | 33.2% |
糖尿病 | 6ヶ月生存率 | 1年生存率 |
なし | 52.8% | 34.8% |
あり | 43.7% | 37.5% |
まとめ
- ①今回誤嚥性肺炎109症例の平均生命予後は、半年生存率54.8%,1年生存率41.8%
- ②水分、唾液で誤嚥する、寝たきり、かなり痩せている、代替栄養もなし、肺炎、脳梗塞の既往がある、高血圧、糖尿病の生活習慣病も併せてある場合平均予後を下回る。
- ③パーキンソン病も合併していると、特に予後は最悪。

ドクトル
かなりシビアな数字ですね….
嚥下機能低下、低栄養、不健康、全身疾患の有無が、どれほど誤嚥性肺炎の予後に悪影響となるかが十分分かりますね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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